池川伸治「白笛物語」(220円/1967年11月20日完成)
「音無つた枝は、普通の女子学生。
彼女はクラスメートの石田秀樹に恋するが、彼の恋人はクラス一の美女、田代京子で手も足も出ない。
ある日、つた枝は、家の軒下に白いたて笛を見つける。
その白笛は音色によって人の感情を自由に操る、不思議な笛であった。
妹であれこれ実験した後、つた枝はこの白笛で、デート中の京子を操り、石田秀樹に暴力を振るわせる。
京子はあっさりフラれ、つた枝はその後釜に収まる。
不審に思った京子はつた枝の周辺を探り、その白笛の存在を知る。
京子はその白笛を偽物とすり替え、今度はつた枝を同じように操り、石田秀樹をケチョンケチョンにけなさせる。
あっさり石田秀樹にフラれた、つた枝は白笛が偽物だと気づく。
つた枝は京子の仕業と勘付き、彼女のもとに向かうと、その白笛のせいで、田代家は大騒動。
そのドサクサの最中、次に石田秀樹の恋人になった、大金持ちの山本百合子の手に白笛が渡ってしまう。
山本百合子に恋人も白笛も奪われ、しかも、誕生パーティーには二人して招待されなかった、つた枝と京子は結託。
白笛奪還と復讐のために、二人は山本百合子の誕生パーティー会場を訪れるのだが…」
池川伸治先生の作品の中では読みやすい作品です。
優れたアイデアと、ユーモラスな雰囲気で、いつもの説教臭がなく、エンターテイメントに徹しており、読ませます。
見どころは、ラスト、手違いで笛に操られ、蛇を本気で貪り食う石田秀樹の描写です。なんかとっても一生懸命で、気の毒なのに、どこか和んでしまうと言うか…。
・備考
ビニールカバー貼り付け。後ろの遊び紙に貸出票の貼り付けあり。
2017年5月3日 ページ作成・執筆