松下哲也「怪談夜叉乙女 後篇」(220円)
「白装束の紗織は、巨大な白蛇へと変身した小姓に乗り、揖斐川を上流へ遡って、行ってしまった。
六郎は、白蛇が棲むという伝説のある夜叉ヶ池を求めて、山奥に踏み込む。
途中、アリやヒルが巨大化しているところがあり、その付近と目星を付けて探すと、ようやく池を見つけ出せた。
そして、池の畔には、紗織の姿があったが、紗織は六郎のことがわからず、逃げ出してしまう。
どうやらあの小姓によって、記憶を失ってしまったらしい。
それでも、六郎は、沙織を取り戻すために、池のそばの木に寝泊りして、機会を待つ。
そこへ、小姓のことが忘れられない村娘、巻や、安八太夫の一行やらが集まってくる。
安八太夫は、池をどうにかして干上がらせようとしているらしいが、何を企んでいるのだろうか?
そして、六郎のもとへ、紗織は帰ってくるのだろうか…?」
基本は民話なのですが、作者曰く、「SF的」なアレンジが施してあります。
「SF的」とは言うものの、ぶっちゃけ、「放射能→巨大化」なのであります。
これでは、1950年代のモンスター・ホラーSF(「放射能X」「水爆と深海の怪物」「戦慄! プルトニウム人間」等)ではありませんか!!
ネタばれですが、ちゃんと小姓も巨大化します。(巨大な草履に押し潰される人々…)
個人的には、イマイチなんですが、こういうノリを喜ぶ人も多いかもしれません。
あと、個人的に、紗織よりも脇役の村娘、巻がいい味、出してます。この素朴な俗っぽさ(変な表現ですが)が素敵だと思います。
・備考
ビニールカバー貼り付け。小口の下部に貸本店のスタンプあり。後ろの遊び紙に貸出票を剥がしたらしき痕あり。
平成27年8月11日 ページ作成・執筆