曽根原澄子「暗闇に鈴が鳴る」
(1985年10月5日第1刷・1986年6月20日第6刷発行)
収録作品
・「暗闇に鈴が鳴る」(1985年「なかよし」7月号掲載)
「私立三須々ヶ丘高等学校。
季節外れの転校生、須田睦美は、幼馴染の関根浩子と再会する。
だが、二人の間には、暗い過去があった。
小学生低学年の時、睦美は、浩子に何かにつれ、意地悪をされる。
内気なせいもあり、睦美にとって一番の友達は、黒猫の「ちいちゃん」であった。
睦美が引っ越しする日、浩子は「ちいちゃん」を連れ去ろうとし、それを助けようとした睦美はトラックに轢かれてしまう。
そのせいで、睦美の右腕には醜い傷痕が残っていた。
転校以来、睦美の周囲では、クラスメートが、猫らしきものに襲われる事件が相次ぐ。
被害者は皆、睦美をバカにしたり、傷つけたりする発言をしていた。
更に、その事件が起こる時、睦美の大事にしている「ちいちゃん」の鈴がひとりでに鳴る。
睦美は、彼女に好意を抱いている小倉志郎をおとりにして、真犯人を突き止めようとするのだが…」
・「悪夢の使者」(1985年「なかよしDEKA」(「なかよし」4月増刊号)掲載)
「優香(高校一年生)は、幼い頃から、奇妙な夢を見る。
それは、どこかの庭園の池で、自分とそっくりな少女が、彼女の足首を掴んで、助けを求めるというものであった。
ある日、優香は、自分が養子であり、本当は、桂木家の跡取りであることを知らされる。
竹藪に囲まれた、桂木家の屋敷に連れて来られた彼女は、姉の美香と出会う。
彼女は優香とは双生児で、幼い頃、優香が倒した(らしい)石燈籠のせいで、車椅子が必要な身体になっていた。
美香も、実の母親も優香には冷たく、孤独に苛まされる優香を、許嫁の那智だけは優しく接する。
優香と那智は互いに惹かれ合っていくが、その二人を、美香は憎悪と嫉妬の眼差しで陰から見つめる。
優香の周囲では、奇怪なことが続出するが、それには、美香の大事にしている人形が絡んでいた…」
・「桜ふぶき恋むすめ」(1985年「なかよしデラックス」2月〜3月号掲載)
「生徒の学力が全国で万年最下位の私立桜高等学校。
学校がなくなると聞き、一年生の江本美也、オカルトな秘美子、蓮っ葉な愛の三人は、理事長に土地を売らないよう懇願しに出かける。
理事長の息子、柴田健が美也にベタ惚れしたことから、理事長は、今度の学力テストで最下位から脱出できたら、土地を売らない、その代わり、無理だったら、息子を返すよう、公なん条件を出すのだが…」
「暗闇に鈴が鳴る」「悪夢の使者」は怪奇マンガです。
特筆すべきは、「悪夢の使者」で、「人形もの」の隠れた逸品でしょう。
目をひん剥いた日本人形がヒロインに情け容赦なく襲いかかってくる描写はなかなか心臓に悪いです。
ラストの「桜ふぶき恋むすめ」はラブ・コメなのですが、個人的に大嫌いな内容です。
「パー校」を存続させるために生徒達が奮闘する…って、勉強しない連中のために学校をわざわざ維持する必要ありませんやん。
しかも、学校を存続させる理由が「高校生の肩書をなくすのがイヤ」とか「他に受け入れてくれる学校がないから」とか、なめとんのか!!
勉強する気がない奴は、学校に行くな!勉強したくてもできない人達に失礼だ!と私は本気で思うのであります。
(しかも、作中では、学力テストで最下位から脱出できなかったクセに、最初の約束を反故にしております。卑怯だよ!)
脱線ついでに書いておきますが、私は「ツッパリもの」が大嫌い。
親の金で高校に行ってるくせに、ツッパリもクソもあるか。勉強や学校が嫌いなら、働くなり、ニートになるなり、別の道を選ぶ方がよほどスジが通っとるがな。
別に、勉強や学校が嫌いなら嫌いでかまわない。それは個人の自由だし、それはそれで尊重されるべき。
でも、勉強はする気は全くないけど、卒業したという肩書だけは欲しい〜といった輩は、小学生じゃないんだから、もっと自分の人生に責任を持って、自分が何をやりたいのか、少しは考えろ!
斯様に、読めば読むほど、血圧の上がる作品であります。(とは言え、私もやりたいことをしてきたわけでなく、自分をゴマカシながら生きてきたので、人のことは言えませんが…。)
2020年3月4日 ページ作成・執筆