松本洋子「見知らぬ街」(1990年2月6日第1刷発行)

 収録作品

・「見知らぬ街」(「なかよし」1989年9月号掲載)
「唯(ヒロイン)、さおり(病院長を親に持つ勝気なお嬢様)、江里子(内気)、夏樹(活発な少年)、卓巳(物静かな秀才)は中学二年生の仲良し五人組。
 夏休み、彼らはさおりの田舎の仙台で過ごすことになる。
 さおりの使用人の運転するワゴン車で出発するが、途中、大型トラックと正面衝突。
 彼らはかすり傷一つせず、車の外に出ると、町には彼ら以外、人っ子一人いない。
 また、電話も信号も横断歩道も看板もなく、生活感というものが完全に欠如していた。
 作りかけのセットのような町で唯一、古新聞の切れ端を見つけるが、それには「ワゴン車衝突 流行中の中学生四人死亡」と書かれてある。
 どうやら彼らは「生と死のはざま」にいるらしく、五人のうち、一人だけが助かるみたいであった。
 彼らは出口を求めて、町を探索するが、液状の闇が一人また一人と呑み込んでいく…」

・「ようこそミステリーツアーへ」(「なかよしデラックス」1987年秋の号)
「アイランドホテルがオープン記念に開催する『宝さがし』ツアー。
 加那(14歳)、いとこの陸(15歳)、喬(加那の弟)、なつき(喬のガールフレンド)はツアーに参加するが、他にも客がたくさん。
 それもそのはずで、島のどこかに百万円相当の宝物が隠してあるという。
 ところが、ホテルでは夜ごと、幽霊騒動が起きる。
 加那はオーナーの息子、橘譲からここで殺人が起きたことを教えられ、また、加那たちは実際に少女の幽霊を目撃する。
 実は、去年、三人の宝石強盗がこの島に逃げ込み、オーナーの娘の涼子とその看護婦の水石彩華を人質にする。
 彩華は隙を見て涼子を逃がし、一方の宝石強盗は仲間割れを起こして、一人が二人を殺して、逃げてしまう。
 以来、涼子も宝石強盗も消息不明であった。
 加那は少女の幽霊に同情し、彼女の魂を救いたいと願うのだが…」

・「アは悪魔のア」(「なかよしデラックス」1988年初夏の号)
「(「ようこそミステリーツアーへ」の続編)
 ある晩、加那と陸は遊びからの帰り、背中をナイフで刺された男性を発見する。
 男性は陸に布で包まれたものを渡して、息絶えるが、その中には奇怪なドクロの像が入っていた。
 殺された男性は井上直樹という大学生で、十日前にメキシコ旅行から帰国するも、ノイローゼ気味であった。
 そして、その像はメキシコに伝わる古い像で、それを手にした者は悪魔が乗り移り、悲惨な最期を迎えると言われる。
 悪魔の像は警察署に保管されているはずなのに、何故か、陸のもとに何度も戻ってくる。
 更には、陸は悪魔に憑依されていた。
 加那たちは陸から悪魔を祓おうとするのだが…」

 「見知らぬ街」はトラウマ・ホラーの名編です。
 救いようのないバッド・エンド…流石です…。
 「ようこそミステリーツアーへ」「アは悪魔のア」はライト・タッチのホラー・ミステリーです。(ライト・タッチでも、やっぱり人が死にます。)

2023年11月24日 ページ作成・執筆

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