菊川近子「残酷のパズル」(1987年60月13日第1刷・1989年6月10日第4刷発行)

・「Piece1 凶獣の誕生」(1986年発行「ハローフレンド」10月号/所載)
「三人組の男達によって、両親を殺害された中原実生。
 実生は叔母にあたる雨宮夫妻のもとに引き取られる。
 事件から一月経った頃、偶然に、実生は雨宮のおじが三人組の男達と関係があることを知る。
 両親を殺した奴らに対する憎悪が極限まで高まった時、その憎悪が黒豹へと姿を変え、復讐を開始。
 そんな彼女の前に、フリーライターを名乗る早瀬圭二と名乗る青年が現れる…」

・「Piece2 暗闇への出発」(1986年発行「ハローフレンド」12月号/所載)
「雨宮夫妻のもとを出た実生は、早瀬圭二のもとに身を寄せる。
 そこで、実生は自分の父親が、政府高官と大企業との間の贈賄事件に関する口封じのために殺されたことを知る。
 実生は、この事件を突き止めるために、圭二に協力することを申し出る。
 しかし、圭二の婚約者を前にした時、実生の中の凶獣が再び頭をもたげる…」

・「Piece3 魔界の使者」(1987年発行「ハローフレンド」2月号/所載)
「贈賄事件の鍵を握る人物が次々と消される中、最後の人物、楠本も変死を遂げる。
 だが、楠本は、来日中のブーズー教の使い手、レチアに復讐を依頼していた。
 レチアは楠本の死体に術をかけ、ゾンビとして蘇らせ、楠本を殺した相手を殺していく。
 雨宮のおじも殺され、このままでは真犯人を法律で裁くことができなくなると、実生と圭二は楠本のゾンビを阻止しようとする…」

・「Piece4 魔界の使者」(1987年発行「ハローフレンド」2月号/所載)
「楠本による復讐の最後のターゲットは、汚職事件の黒幕、笠原総一郎であった。
 実生と圭二は、笠原をレチアの魔術から守り、笠原本人を自首させようと奔走する。
 一方、レチアは楠本との契約を完遂するために、より一層の魔力を注ぎ込む。
 レチアの魔力により、館内の警官やガードマンは皆眠りに落ちた隙に、楠本のゾンビが笠岡に襲いかかる。
 その場に駆け付けた圭二と実生は、心の奥に棲む凶獣を解放させて、対抗しようとするが…」

 「キャット・ピープル」(1982年/ナターシャ・キンスキーが出ている方/未見)もしくは、篠原千絵先生の「闇のパープル・アイ」(未読)の影響があるような気がしますが、どこか消化不良気味。
 後半は、ゾンビ・マンガになっており、ますます焦点がぶれている感があります。
 また、ラストも、打ち切りにでもなったのでしょうか、不安を残したままで、すっきりしません。
 と、厳しい意見を書きましたが、それでも大ベテランの作品ですので、かなり読ませます。
 それなりに面白いために、かえって詰めの甘さが目立つ気がします。

2017年1月1日 ページ作成・執筆

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