菊川近子「呪詛」(1994年12月12日第1刷発行)

 収録作品

・「呪詛」 「中学二年生の高野麻理子は優等生。
 しかし、両親の死後、晶世(あきよ)の一家が麻理子の家に移り住んできて、麻理子を女中のようにこき使う。
 そのために、麻理子は遅刻ばかりで成績はガタ落ち。
 加えて、同じクラスの晶世は麻理子に対して、陰湿ないじめを続ける。
 根の優しい麻理子は晶世達を決して責めなかったが、麻理子の親友の美矢子は晶世の行いをじっと観察する。
 美矢子は絵や彫刻に対して天賦の才能があり、似顔絵なんてお手の物。
 ある時、麻理子は、美矢子が、えこひいきばかりする女教師の人形を作っていることを知る。
 その女教師の家が火事になり、女教師は行方不明となるのだが…」

・「死をよぶ輪舞」
「転校生の純子(中学二年生)は、クラスで爪はじきにされている朋美と、熱帯植物を通じて仲良くなる。
 朋美は元来変わり者扱いされていたのに加え、父親の会社が倒産したことで更に陰気になっていた。
 彼女の唯一の楽しみは、温室で様々な熱帯植物を育てること。
 そして、何かの植物についていた卵から孵った、真赤な羽の蛾を育て上げ、とてもとても大切にしていた。
 だが、彼女の父親の失踪騒動以来、朋美の様子がおかしくなる。
 徐々にやつれていき、純子に対してひどくよそよそしくなる。
 同時に、クラスの女子生徒が次々と謎の失踪を遂げていくのだが…」

・「十六歳の悪夢」(「1983年発行 週刊少女フレンド第9号・第10号」)
「通学のため、一人暮らしを始めた露木絵美は毎晩、幽霊に悩まされる。
 絵美は、親友の階堂真澄に泊まってもらうが、そこに彼女の両親が血相を変えて、訪れる。
 実は、階堂家の血を引く少女は16歳の誕生日を迎えた後、一週間以内に怪死を遂げていた。
 階堂真澄は最近、誕生日を迎えたばかりであり、一週間が過ぎるまで、絵美に家にいてもらい、行動を共にすることとなる。
 真澄の家で、絵美の前に、黒猫をつれた白い着物の少女が現れ、絵美を殺すと告げる。
 しかし、当の真澄は幽霊を視ていないようなのだが…」

・「過去を知る黒子(ほくろ)」(「1981年発行 ハローフレンド11月号」)
「周子が企画した百物語の会。
 会には、いつも周子が反抗的な態度を取る絵島先生が招かれていた。
 クラスメート達は次々に怖い話を披露し、百話目は周子の番。
 周子は十年前、彼女が幼い頃に目撃した殺人事件について話し出す。
 犠牲者は隣に越してきた新婚夫婦で、交通事故死として処理されたが、実際は巧妙に仕組まれたものであった。
 そして、その犯人は…?」

2021年5月17・18日 ページ作成・執筆

講談社・リストに戻る

メインページに戻る