曽祢まさこ「ダーク・クイーン」(1988年9月6日発行)
収録作品
・「ダーク・クイーン」(昭和62年「なかよし」恐怖増刊号・掲載)
「十二歳の菅野果林に弟の聖也が産まれる。
弟の世話をしているうちに、果林は、弟を付け狙う闇の勢力の存在に気づく。
(あまりマンガの中で説明はないけど)実は、聖也は【光の子】なのであった。
果林はなるべく弟のそばを離れずに、弟を守ろうと決意する。
また、果林の祖母が求めてきた、魔除けの御守も、邪まなものを近付けず、果林の支えとなる。
しかし、聖也に直接手を出せないことを知った闇の勢力は、からめ手を使い、果林の家族から取り込んでいく。
父親は徐々に人が変わったようになり、両親の不和で家庭は荒れていく。
そんな中、父親が突然、江崎工業に転職。
慌ただしく一家はN県柊市に移ることになるが、そこは土地も人もどこか陰湿だった。
その土地に馴染めない果林であったが、その土地の有力者の三男、江崎昇と知り合う。
家に江崎昇を呼び、聖也の相手もしてもらい、果林は楽しい一時を過ごす。
しかし、その町こそ闇の勢力の中心、ダーク・クイーンの本拠地であった…」
なかなか荒唐無稽なストーリーであります。
「光の子を闇の勢力から守るために奮闘する少女」というと、何やら壮大な内容を予感させますが、実のところ、派手さはなく、やけに生活臭に溢れ、こじんまりとした印象を受けます。
まあ、「なかよし」の読者に向けての作品ですので、小難しくなく、ちょっぴり怖くて、読者の共感を呼ぶことができるように描かれたのかもしれません。
それなら、それでよし!! 何だかんだ言いましたが、意外と好きな作品なのです。
・「美里へ…」(昭和63年「なかよし」夏の増刊号・掲載)
「中学三年の早瀬美里のボーイフレンドは、二歳年上の幼馴染の津田勇一。
県下で指折りの進学校に進み、ハンサムというだけでなく、勇一は美里に首ったけ。
美里が小さい頃から何やかやとこまめに世話を焼いてくれて、美里のためなら何でもしてくれる。
十五歳の誕生日に、ファースト・キスも済まし、まさに勇一は美里の王子様であった。
ある日、美里は、別のクラスの広橋修に告白される。
美里は断るものの、学校一のファンキーガッツマンである修はなかなか引き下がらない。
若干押しつけがましい修を美里は持て余し、学校からの帰り道、勇一に愚痴を言う。
数日後、クラブからの帰り道、修はトラックに轢かれそうになる。
原因は自転車のブレーキが切られていたことであった。
このニュースを聞くと、美里は何か引っかかるものを感じる。
もやもやしたまま、広橋修の家に見舞いに行くが、その時、ある記憶が脳裏をよぎる。
それは、小学校に入る前、美里を襲おうとして、勇一に追い払われた犬が、後日、農薬で毒殺されたことであった。
似たような記憶が次々と惹起され、美里はある疑念を抱く…」
「完璧な恋人」をテーマとした佳作だと思います。
ラストは、やっぱり…です。
2016年7月30・31日 ページ作成・執筆