松本洋子「だれかが見つめてる」
(1982年3月5日第1刷・1985年8月31日第14刷発行)
収録作品
・「だれかが見つめてる」(安芸永里子・原作/「なかよし」1981年12月号〜1982年1月号掲載)
「麻美(小学六年生)は、三歳の時、父親が亡くなって以来、母親と二人暮らし。
彼女は、仕事で忙しい母親を支え、学校ではクラス委員を務める、真面目な少女であった。
ある日、母親が足立という男性と再婚するという話を聞き、彼女の心は揺れる。
そんな時、彼女は、公園で捨て猫を拾う。
猫は、彼女に話しかけ、心の奥底に潜む願望を暴き出す。
麻美は、良心の呵責に苦しみながらも、その言葉に抗えない。
しかし、彼女の願い通りに、母親と足立が交通事故にあってしまい…」
・「人形たちの夜」(「なかよしデラックス」1981年9月号)
「ロビンとリュシーは幼馴染かつ恋人同士。
二人は、彼女の誕生日プレゼントのために、人形店を訪れる。
店主の青年は、ビアトリスという名のアンティーク・ドールを破格の値段で勧める。
だが、翌日、リュシーはロビンを呼び出し、別れを告げる。
しかも、プレゼントのアンティーク・ドールを平然と彼の足元に投げ出し、壊してしまうのであった。
彼女が人形店の青年と付き合い始めたことを知り、ロビンはその店にアルバイトとして働くようになる。
人形店の青年はカートという名で、人形を異常な程、大切にしていた。
また、人形を売る相手を選び、場合によっては、ただで相手に渡したりと不可解なことばかり。
カートの「人形ののぞむようにしてやりたい」という言葉の意味は…?」
・「氷のレクイエム」(「なかよしデラックス」1981年2月号)
「アンジーの母親、マデイラが湖で死んだ。
死体は見つからないまま、葬儀が行われ、アンジーは深い喪失感に落ち込む。
三か月後、父親は秘書のクレアと再婚する。
そのパーティで、アンジーは、クレアは父親の不倫相手で、五歳の娘、ニーナは父親との間の子供だという話を聞く。
ショックを受け、外に駆け出ると、母親が死んだ湖で、氷漬けとなった母親の死体を発見する。
その胸にはナイフが刺さっていた。
アンジーは復讐を決意し、策略を用いて、クレアを徐々に追い込んでいく…」
オカルトもの、人形もの、復讐テーマのサスペンスと、「なかよし」の読者向けとしてはへヴィな一冊です。
表題作「だれかが見つめてる」は名作ではありますが、猫相手に悪魔払いというのは、今見るとあまり迫力ないかも…。
それよりも、「人形たちの夜」の方が拾い物でした。
隠れたトラウマ・ホラーの逸品だと思います。
2021年5月16日 ページ作成・執筆