渡千枝「人狼伝説」(1991年5月13日第1刷発行)

 収録作品

・「人狼伝説」
「母親を亡くした野呂和子。
 母親は、母方の祖父(野呂家)に父親のことを聞くよう言い残していた。
 父親とは、小学校を上がって、母親と上京した時にその存在を知らされ、月に二三回会っていたが、三年前に母親から亡くなったと聞かされていた。
 故郷に帰ろうとした矢先、幼馴染の長谷川史生から手紙が届く。
 故郷の村では、長谷川家は狼憑きと忌み嫌われ、野呂家と反目していたが、和子と史生は仲が良かった。
 久々の手紙を期待を込めて開くと、危険だから村に帰らないよう忠告される。
 それでも、真相を知るため、和子は、先輩の不動王仁彦と共に、故郷を訪れる。
 故郷は温泉町として栄えていたが、長谷川家のホテルは潰れ、野呂家のものとなっていた。
 和子は、圭介叔父(母親の弟)と会い、彼女は祖父との面会を望む。
 だが、祖父は心臓を患って寝たきりで、また、圭介は、彼女を祖父に会わせたくない様子であった。
 その夜、和子は、妙な気配を感じて、廊下に出ると、廊下の隅に異様な人物が蹲っているのを目にする。
 その人物は外に姿を消すが、その後で、祖父が縁側で死体となって発見される。
 その身体には、狼のような爪の痕が幾つも残されていた。
 警察は、長谷川史生の仕業と断定し、和子と不動王仁彦は、山奥にある、長谷川家の家に向かう。
 そこで目にした史生の姿とは…?
 そして、史生に憑いているものの正体は…?」
(「別フレ増刊 1991年ミステリースペシャル号」掲載)

・「魔界伝説」
「永井一家(単身赴任する父親、母親、長女の秋葉、次女の夏菜)は、都内の社宅から、横浜の分譲住宅に引っ越す。
 秋葉は最初は浮かれていたが、奇怪な出来事が積み重なり、徐々に不安になっていく。
 どうも家の中にもう一人、それも、幼い女の子がいるような気がして仕方がない。
 母親は、心霊能家、堀川龍之進に百万円を払って、祈祷してもらう。
 しかし、事態はますます悪化し、秋葉は少女の霊に命の危険にさらされるようになる。
 高校で彼女と知り合った不動王仁彦は、彼女を救おうとするのだが、その家に潜む霊の正体とは…?」
(「別フレ増刊 1989年春の号」掲載)

 不動王仁彦ものが二作収録されております。
 個人的には、「魔界伝説」の方が面白かったです。
 蟻がたかるシーンは非常に心臓に悪いです。

2021年10月26日 ページ作成・執筆

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