かずはしとも「真夜中の少女」(1994年1月13日第1刷発行)

 収録作品

・「真夜中の少女」
「栗山勉は、一浪中の予備校生。
 家が薬局の関係で、彼は深夜零時まで店番のバイトをしていた。
 八月の蒸し暑い夜、高校生らしき少女が店を訪れる。
 と言っても、買い物をするわけでなく、彼を散々からかった挙句、姿を消す。
 以来、少女はちょくちょく店に顔を出すようになる。
 「ユウ」と名乗る少女は天真爛漫で、勉は彼女に惹かれるようになるが、彼女は夜中にしか現れず、彼女のことは何も教えてくれない。
 ある時、彼は、彼女が落とした財布から、彼女が近所に住む藤原由布子と知る。
 翌日、彼は彼女に会いに行くのだが、由布子にはユウの面影はなく、彼女は彼のことを知らなかった。
 ユウの秘密とは…?」

・「メモリー」
「11歳の桜子は、遠い親戚で、11歳年上の尚也に恋していた。
 しかし、彼の心には、11年前に亡くなった、初恋の少女の思い出が生き続けていた。
 彼は大学に通うため、桜子の家に下宿していたが、卒業後は先生として故郷に帰ることとなり、桜子はショックを受ける。
 引っ越しの前日、彼女は尚也に胸の想いを告白する。
 だが、やんわりと断られ、桜子は衝動的に、尚也の初恋の少女の写真を引き裂く。
 その瞬間、胸に激痛が走り、その夜、高熱を出す。
 夢の中で、彼女は、尚也の初恋の少女になっており、彼女の想いを知るのだが…」

・「切れたミサンガ」(1993年「月刊少女フレンド」9月号増刊)
「夏休み、えりかの家の空きガレージで、兄のバンド「Just!」がコンテストに向けて練習することとなる。
 えりかは、兄の大学の後輩で、ギター担当のノブに恋しており、彼からギターを習う。
 えりかの友人、亜紀も、楽器は弾かないでも、差し入れ等、バンドの練習に顔を出していた。
 ある日、えりかは亜紀から、彼女の手作りでおそろいのミサンガをもらう。
 ミサンガは南米に伝わるおまじないで、願いを込めて手首に結び、それが切れたら、願いが叶うと言われていた。
 えりかは、自分もバンドで演奏したいと願う。
 ミサンガが切れた時、その願いは叶うのだが…。
 更に、亜紀の願いが叶ったことで、えりかは追い詰められることとなる…」

・「伝言板」(1993年「月刊少女フレンド」4月号増刊)
「彼氏のいない中島美冬。
 彼女は、見栄から、駅の伝言板に、知樹という架空の青年から彼女へのメッセージを書き込む。
 すると、実際に、藤巻知樹という青年が現れ、これが有名校のイケメン男子。
 戸惑いながらも、これは伝言板の「魔法」と思い、彼女は彼と付き合うようになる。
 だが、彼女は次々と危険な目にあうようになり…」

・「3年目の聖夜に…」(1992年「月刊少女フレンド」1月号増刊)
「1988年12月24日。
 その日に、高橋由惟はつらい思い出があった。
 彼女は親友の岩村さおりを、テニス部の池田に告白させるために、大通りのツリーがある所で待ち合わせをする。
 だが、さおりは、その場所で夜、スリップした車に轢かれて、亡くなる。
 由惟は、池田を誘う時、彼に告白され、さおりと顔を合わせることをためらってしまい、それが事故の原因だと良心の呵責に苦しみ続ける。
 三年後、由惟は、高校の同窓会に出席する。
 しかし、不可解な出来事が続き、、由惟は会場を後にする。
 ところが、駅に行くことができず、戸惑う由惟の前に、さおりの幽霊が現れる。
 彼女は由惟のことを「待ってる」らしいのだが…」

 裏表紙に「魅惑のネオ・ロマンチック・ホラー集」と書かれており、恋する少女が主人公の「ロマンチック」な作品が多いです。
 個人的に、「切れたミサンガ」と「3年目の聖夜に…」が良かったです。

2020年12月15日 ページ作成・執筆

講談社・リストに戻る

メインページに戻る