犬木加奈子「地獄鳥@」(1998年7月9日第1刷発行)
犬木加奈子「地獄鳥A」(1999年5月7日第1刷発行)
収録作品
・「地獄鳥」(「ミスターマガジン」1998年1〜3掲載)
「医師の平坂与保(よもつ)は、地獄鳥に案内され、地獄を訪れる。
自分が死んだと慌てた彼は、地獄鳥に詰め寄り、なりゆきでその衣を引っ剥がしてしまう。
彼を呼んだのは「一番初めに死んだ人間」、あの世の王ヤマであり、彼の罪状を述べたてる。
第一の罪は「生まれたこと」。
第二の罪は「その若さですでに何人かの命を奪ったこと」。
そして、最も大きい、第三の罪は「自分の出生を恐れる余り、己の死を恐れ、その存在を無くそうとしている」ことであった。
与保はヤマのもとに駆け寄るが、その顔を見たとたん、驚愕する。
すると、足元は崩壊し、地獄鳥の衣を手に、現世へと堕ちていく。
地獄鳥は、与保の後を追うが、物質界に呑み込まれ、行き倒れの老婆の子宮で赤ん坊の肉体をまとう。
この瞬間から、与保と地獄鳥の間に因縁が生まれ、輪廻の輪が回り始めるのであった…」
・「地獄鳥 陰陽師編」(「ミスターマガジン」1998年4.5.7〜15掲載)
「平安時代の京に飛ばされた与保と地獄鳥。
与保は、宮廷陰陽師の阿倍野春材の養子となり、阿倍保明と名を変える。
一方、地獄鳥は、京の六条河原で、夜な夜な男に身体を売る淫売婦となる。
二人の因縁に、地獄絵で出世を目指す良秀、陰陽頭を目指し、阿倍春材の命を狙う芦屋道満といった面々が絡み合う。
地獄鳥がその衣を取り返した時、この世に地獄が現出するというのだが…」
・「死神」(A収録/「ミスターマガジン」1999年5掲載)
「とある安アパートで雀卓を囲む、南野天和、西川暗刻、北村満貫、東平和の四人。
彼らの前に、突如、地獄鳥が現れ、夜明けまでに、彼らのうち、一人の命を奪うと告げる。
その一人を麻雀で決めることとなるのだが…」
・「パチンコ童子」(A収録/「パチンカーワールド」掲載)
「パチンコが大好きな妊婦。
彼女はパチンコ店内で駆けまわる女の子に気が付く。
その女の子はずっとパチンコ店で遊んでいるらしい…」
正直言いますと、今回、調子悪いです。(調子がいいこと、ほとんどありませんが…。)
「地獄鳥」、内容をどう要約したらいいのか、大いに弱ってます。
くどくど書いても、ちっとも要領を得ないと思いますので、興味ある方は、とりあえず読んでください。
あまり良い評判は聞きませんが、じっくり読み直してみたら、非常にイマジーネーティブかつ独創的なストーリーで、意外な程、面白かったです。
ただし、注意しなければならないのは、この作品、打ち切りになったためか、未完です。(注1)
冒頭の地獄のシーンで、いろいろと謎が提示されておりますが、結局、明らかにはなりません。
そこが評価を極端に落としているようで、傑作になり損ねた、惜しい作品であります。
要は、ストーリーの設定が壮大に過ぎたということなのかもしれません。(注2)
二巻には、味のある短編が二編併録されており、「死神」は佳作だと思います。
犬木加奈子先生による「水木キャラ」、味わいがありまくりです。この「貧相」なところがいいんですよね。
「麻雀ホラー」って、私の知る限り、赤塚不二夫先生の「裏ドラについてニャロメ!」(「ニャロメのおもしろ麻雀入門」(池田書店/1987年9月27日36版)収録)とこの作品しかありません。
他にもあるんでしょうか?
・注1
単に、単行本未収録だったら、ごめんなさい。
・注2
きっちり設定を詰めて、まだまだ描く予定だったけど、打ち切りになって、描くことができなかったのであれば、犬木加奈子先生、本当にごめんなさい。
もし、そうであれば、心からのお詫びと共に訂正いたします。
2017年8月28日 ページ作成・執筆