成毛厚子「怪 霊体験日記A」(1992年11月13日第1刷発行)

 収録作品

・「怪 霊体験日記A」(1992年「少女フレンド4月号増刊 サスペンス&ホラー特集号」)
「第1話 水族館」
 乃梨子は友人達と共に水族館を訪れる。
 そこで、彼女は、不気味な体験を幾つもする。
 難破船のセットの窓に見えた人影。
 岩陰の中にひそむ、人の顔のようなもの。
 そして、水槽のガラスを通り抜けていった女性。
 乃梨子は、迷子らしい坊やを背負って、この場所から早く出ようとするのだが…。
「第2話 階段」
 伸枝は、親戚の明子の住む、オートロックマンションを訪れる。
 インターホンで明子から四階の401号室と教えられ、エレベーターに乗ろうとするが、エレベーターは作動してない様子。
 仕方なく、階段を登ると、三階の次は五階で、四階への入り口がない。
 その時、下の階から誰かが階段を登ってくる…。
「第3話 スカイ・ブルー」
 ミカ子の兄は浪人生。
 家が代々医者のため、親は彼を医学部に入れようとするが、本人はアニメーター志望であった。
 彼は、勉強するふりをして、こつこつとアニメのセル画を描きためる。
 彼がつくるアニメは「空を飛ぶ」ことがテーマであった。(「ナウシカは超えた」と自画自賛。)
 ある時、彼は、自分のアニメに蠅が入り込んでいることに気付く。
 彼はどうにかして自分もアニメの中に入ろうと考えるのだが…。
「第4話 2億年の夢」
 美沙子は、恋人の祥平のために、「恐竜の卵」という玩具を買う。
 しかし、家で飼い犬にとびつかれ、落とした拍子に、卵の尖端に穴があいてしまう。
 その穴を覗いた、妹のフー子は、卵を決して離そうとしなくなる。
 フー子は、この卵をペットと呼び、夜中に、冷蔵庫の食べ物をあげたりする。
 祥平に卵を見せるよう頼まれ、美沙子は彼をマンションに呼ぶのだが…。

・「海の家には…」
「浜辺を訪れた、六人の男女。
 浜辺は人もいっぱい、ゴミもいっぱいで、彼らも砂浜にゴミを埋めて、知らんぷり。
 彼らは、元・民宿をしていた家の離れで、一夜を過ごすが、一人また一人と姿を消していく。
 窓花の前に現れる、おかっぱで、金魚の浴衣の少女の正体とは…?」

・「再会 ―いとしのエリ子―」(1991年「ハロウィン増刊」)
「マサルは「活魚割烹のざき」の板前。
 食通で知られる山根流水が来店することとなり、料理を任される。
 そのために、八丈島から鯛を取り寄せるが、加東という客がその魚を見て、目の色を変える。
 彼は、金を払うから、魚を殺さないよう懇願する。
 彼は八丈島出身で、魚を、死んだ恋人の生まれ変わりだと確信していた。
 しかし、マサルからすれば自分の将来にかかわることで、加東の願いをはねつけるのだが…」

 個人的には、「スカイ・ブルー」が好みでした。
 皮肉なラストが効いてます。

・備考
 カバー痛み。湿気による本体の歪み。

2020年7月29日 ページ作成・執筆

講談社・リストに戻る

メインページに戻る