古賀新一「呪いの鈴の音」(1984年10月13日第一刷発行)

「転校生の美内ひろみは放課後の教室で、草野加代という少女と知り合う。
 草野加代は病弱のため、学校生活になじめないでいた。
 転校の多い、ひろみも加代の気持ちが痛いほど理解でき、二人は友達となる。
 だが、草野加代はこの世の者ではなかった。
 幼い頃から身体の弱かった加代は、学校で勉強をすることを唯一の生きがいとしながら、十三年前に亡くなっていたのである。
 加代と会って以来、加代と、彼女の後を追って自殺した母親の幽霊が、ひろみに会いに学校を訪れるようになる。
 加代の幽霊に怯え、ひろみは登校できなくなる。
 加代の母親の幽霊には責められ、また、加代の幽霊のことをばらしてしまったことで、ひろみは加代の祟りを恐れ、衰弱していく。
 だが、加代のひろみへの想いに心を打たれ、ひろみは加代の幽霊に会うべく、学校に向かう…」

 個人的な推測ですが、美内すずえ先生の傑作「白い影法師」に触発されて描かれたものなのではないでしょうか?(ヒロインの姓が「美内」なのは偶然の一致?)
 とは言え、単なる二番煎じに終わらさず、「牡丹燈籠」、ホーソーン「ラパチーニの娘」、「腹話術の人形」(早見純先生の「のど奥深く」と一緒)といった要素を半ば強引に取り入れ、古賀流「ごった煮ホラー」にちゃんと仕上げております。
 比較すると、やはり「白い影法師」の方が凄味があるとは思いますが、これはこれで捨てがたい「味」があるように思います。

2018年4月4日 ページ作成・執筆

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