あづま春吉
「キリキリ@」(2010年9月17日第1刷発行)
「キリキリA」(2010年11月17日第1刷発行)
・「第一話 死ぬ前に言えよ」(単行本@/「別冊少年マガジン」2010年3月号)
「相良希介(16歳)は霊視能力を持つ少年。
と言っても、霊を成仏させる力はなく、その上、超怖がり…。
ある日、彼は「キリ」と名乗る少年と出会う。
キリは釘バットで霊を祓うことができた。
その後、登校すると、学校では大騒ぎ。
女子トイレでまたも「花子さん」の犠牲者が出たのであった。
学校は半日足らずで終わり、希介が帰ろうとすると、「花子さん」のトイレからキリが出てくる。
彼はそこで何にも出くわさなかったらしい。
希介はキリに声をかけ、教室に連れて行くと、学校の怨霊を成仏させてほしいと頭を下げて頼む。
キリは了承し、二人は教室を出るが、次の瞬間、希介だけあの女子トイレの中にいた…」
・「第二話 一つだけな」(単行本@/「別冊少年マガジン」2010年4月号)
「夜のコンビニで希介はキリと再会する。
キリのことが気になって希介は彼のあとについていくが、そっけなく、あまりしつこくするとなにをされるのかわからない。
希介はキリと別れ、別の道を行こうとすると、人面犬の群れに襲われる。
この人面犬を作っているのは…?」
・「第三話 バカだろ」(単行本@/「別冊少年マガジン」2010年5月号)
「希介が目覚めると、病院のベッドで寝ていた。
何故ここにいるのか思い出そうとするが、記憶が曖昧であった。
病院で希介はチユキという男の子と知り合う。
チユキは生まれつき心臓の病気で、四年の間、入院していた。
チユキは希介が退院したら、自分のことは忘れると言い、希介は彼と友達になる約束をする。
希介がチユキの病室を出ると、看護婦の変死体を発見する。
彼女は全身の血を失って亡くなっていた。
同じ事件はこの病院で三件目なのだが…」
・「第四話 …お前だよ」(単行本@/「別冊少年マガジン」2010年6月号)
「変死事件の犯人は(当然ながら)吸血鬼であった。
キリによると、この吸血鬼は四年前に「閻魔」を八つ裂きにして殺した妖怪たちの一人であった。
妖怪たちは閻魔を完全に封印し、この世と冥府を一つのものにしようとしていたが、閻魔は完全には消滅せず、日本にバラバラになった身体を隠していた。
そして、そのことは希介にも関係があった…」
・「第五話 ザコに用はねぇ」(単行本A/「別冊少年マガジン」2010年7月号)
「希介はキリの手伝いをすることとなり、町にさまよう霊を次々と成仏させる。
そんな中、気になるのが女子中学生のバラバラ殺人事件。
事件から二週間経つのに、彼女の足だけがいまだに見つからなかった。
また、噂ではあるが、被害者が生前つけていたブログを見ると、女子中学生の霊が現われ、足を奪おうとするらしい。
それを聞き、キリが速攻、そのブログを開くと、女子中学生の霊が現れる。
彼女の名は小尾沙織。
彼女の切断された足は落雷で絶命した犯人の霊が持ち去っており、足を取り戻すことを願っていた。
沙織の案内で、希介とキリは彼女が殺害された現場を訪れる。
彼らは足と犯人の霊を探して森の奥へと進むが、なかなか見つからない。
その時、希介はたくさんの足が生えている木のイメージを視るのだが…」
・「第六話 何で知ってんだ」(単行本A/「別冊少年マガジン」2010年8月号)
「小尾沙織は足を取り戻す。
だが、その足は普通の人間の足ではなかった。
彼女は両親に会うため、駆けていく。
彼女が両親と再会したと思ったのも束の間…」
・「第七話 …僕捨てられたんだ」(単行本A/「別冊少年マガジン」2010年9月号)
「希介はある橋の中ほどで少年の霊と出会う。
彼はこの川で溺死したらしく、スケッチブックを探していた。
希介は川の中を霊視して、少年のスケッチブックを見つける。
このスケッチブックはキリと何らかの関係があるらしいのだが…。
そして、希介はキリの過去を視る…」
・「第八話 悪いなキクスケ」(単行本A/「別冊少年マガジン」2010年10月号)
「希介の前に閻羅王、セトが現れる。
セトは閻魔王の弟で、自分が王にふさわしいと考え、閻魔王を殺す。
そして、閻魔の身体のパートをほとんど集め、残りを渡すよう希介たちに迫る…」
・「最終話 キクスケ!早くしろ!!」(単行本A/「別冊少年マガジン」2010年11月号)
「希介は自分たちの持っている閻魔の身体を自分に移植する。
セトと希介の戦いの行方は…?」
あづま春吉先生のデビュー作です。(注1)
新人らしく全力投球しつつも楽しんで描いている様子が伝わってきて、こういうフレッシュな作品、私は好きです。(特に序盤の漫才のようなやり取りが良い。)
ただし、ストーリーは難ありで、ラスト付近(第八話〜最終話)の展開が急過ぎです。(打ち切り?)
また、いろいろと釈然としない点や説明不足も非常に多く、設定の甘さは許容範囲を超えております。(大風呂敷を広げすぎちゃった?)
それでも、普通に読むぶんには十分に楽しめる作品ではないでしょうか?
とりあえず、(作者はホラーが苦手なのに)グロ描写も頑張っておりますし(注2)、ホラー好きは読んで損はない…といいなあ…。
・注1
あづま春吉先生をグーグルで調べても、「キリキリ」しか作品が出てこないので、これが「代表作」の可能性もあります。
・注2
「第五話」のラストでの小尾沙織のモンスター面はなかなか心臓に悪いです。
2024年12月20・22・23日 ページ作成・執筆