高階良子「黒とかげ」(1975年4月10日第1刷発行)

 収録作品

・「黒とかげ」(原作・江戸川乱歩「黒蜥蜴」(注1)/1971年「なかよし」4月号〜8月号)
 高階良子先生が江戸川乱歩・作品を手掛けた最初の作品のみならず、「なかよし」で怪奇マンガが発表される嚆矢ともなった作品です。
 このあたりの事情は「大人の少女マンガ手帖 オカルト・怪奇ロマン」(宝島社/2016年7月6日発行)掲載の高階良子先生へのインタビューに詳しいので、興味のある方は是非ご一読を。
 大まかな筋は原作と一緒ですが、黒とかげの部下、雨宮潤一と、宝石商人の娘、岩瀬早苗とのロマンスがあったり、コミカライズに際し、かなりのアレンジが施されております。
 惜しむらくは原作ではハイライトとなる、黒とかげの本拠地の描写がかなりはしょられておりますが、逆に、冗漫なところがなく、スピーディな展開になっており、これはこれでいいかも。
 少女向けの漫画とは言え、原作の魅力をうまく伝えており、江戸川乱歩のコミカライズ作品の中でも、名作の一つに数えられると思います。

・「マーヤの長い夜」(1974年「なかよし」9月号)
「小松崎家に世話になっている記憶喪失の少女、マーヤ。
 彼女がマーヤと呼ばれているのは、人気歌手、酒井麻夜に似ているからであった。
 マーヤは小松崎家の長男、優に想いを寄せるが、彼の恋人は、実は酒井麻夜であった。
 ある日、彼はマーヤに、酒井麻夜の様子を見に行ってくれるよう頼む。
 酒井麻夜は、独占欲の強い母親のために、自由のない生活を送っていた。
 ある時、麻夜は無断で外出した際、優と知り合い、二人はひそかに愛し合う仲となったのである。
 しかし、彼女は病気になり、会うことができない。
 そこで、彼の代わりに、マーヤは酒井家を訪れるのだが…」

・注1
 文庫本(右側の画像)は「角川文庫/1973年5月30日初版・1981年9月30日第13刷発行」のもの。
 この角川文庫のバージョンは、宮田雅之氏によるカバー絵がとっても素敵で、惚れ惚れしてしまう。

2018年10月5日 ページ作成・執筆

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