犬木加奈子「口裂け女伝説」(1995年4月13日第1刷・1996年6月5日第4刷・1998年1月6日第9刷発行)

 収録作品

・「口裂け女伝説」(掲載雑誌等、記載はあるが、ページの狭間に埋もれ判読できず)
「小学校の校門の前に立つ、奇妙な女性。
 長い髪にロング・コート、春先なのに、マフラーで顔の下半分を覆っている。
 また、右手には女の子の人形を逆さにぶら下げており、その人形の口は一度引き裂かれ、繕われていた。
 小学生の谷口桜は、下校時、その女性に襲われる。
 どうにか無事であったが、桜が休んでいる間に、小学校ではその女についての噂が広まっていた。
 桜の担任教師の関口は、自分が小学生の頃に流行った「口裂け女」の噂を思い出し、どうも心穏やかでない。
 三日後、桜が学校に顔を出した日の帰り道、再びあの女が姿を現す。
 桜達は必死で逃げるものの、友人の一人が女に連れ去られてしまう。
 更に、その女が校庭に現れたことをきっかけに、「口裂け女」の噂は本格的なものになり、子供達はパニック状態に陥る。
 その時、校庭の女の姿を見た関口教師は、女が「口裂け女」であることを確信する。
 実は、関口教師は、過去に、その「口裂け女」になる女性を知っていたのであった。
 一方、子供達は、「口裂け女」にさらわれた女児を救うため、団結して、夜の学校に潜り込む…」
 「口裂け女」を題材にした怪奇マンガの中では、トップクラスの内容を誇る傑作でありましょう。(注1)
 ストーリーは簡単に言いますと、「口裂け女のその後」なのでありますが、都市伝説を巧みにストーリーに絡み合わせて、読ませます。
 ただ、グロ描写があまりにもヘビーで、そのあたりが苦手な人にはお勧めできません。
 あと、「口裂け女」の行き過ぎた描写も、ダメな人はダメでしょうね…。

・「家のない蝸牛」(平成4年発行「月刊少女フレンド9月号増刊「サスペンス&ホラー」特集号」所載)
「夏休み、蒸し風呂のような都会に飽き飽きした少女三人。
 彼女達は、祖母のいる海村で夏を過ごしている滑川影代のもとを強引に訪れることに決める。
 滑川影代は、陰気な少女で、三人と同じ連絡班に属していながら、三人とつるむようなことはめったになかった。
 加えて、ある雨の日、影代はドブにいたナメクジを家に持って帰ってから、徐々に様子がおかしくなり、夏休み前に学校に来なくなった。
 そこで、三人が夏休みの課題を影代の家に持って行った際、家族の病気の療養のため、祖母の実家で夏を過ごすと影代は話したのである。
 電車やバスを乗り継ぎ、ようやく三人が訪れた海村は、ひどく寂れた僻村であった。
 奇妙なことに、住人はほとんど姿を見せようとせず、この暑さにどこも雨戸は締めきったまま。
 また、三人を迎えに来た影代もひどく顔色が悪く、祖母の家も暗く湿っていて、床や壁に白く光る跡が至る所にあり、異様な印象がぬぐえない。
 影代は、家の奥に病気の家族が寝ているから、絶対に行かないように三人に告げる。
 こっそりと影代は主人公に明日すぐに立ち去るよう耳打ちするが、三人はすぐに影代とその家族の秘密を目の当たりにすることとなる…」
 ネタばれですが、「ナメクジ」ホラーの大傑作なのであります。
 オレはなぁ、こんな「B級」怪奇マンガが心の底から好きなんだよ!!
 いいじゃないですか、ナメクジ食べたら、「ナメクジ人間」って。
 しかも、弱点は予想に違わず、やっぱりアレです。
 と書いたら、笑っちゃう人もいるかもしれませんが、そんな生易しいマンガではありません。
 情け容赦のないグロ描写が全編を覆い、生理的不快度は極めて高いです。
 こういうマンガを読むと、犬木加奈子先生が、楳図かずお先生、古賀新一先生の「スピリット」を受け継いでいると、つくづく感じます。
 ちなみに、「ナメクジ人間」の描写は、「悪魔の植物人間」の影響ありと、私は見ました。

・「化粧」('90「ホラーハウス」9月発行)
「地味で大人しい女子学生、音無シズ子は、自分の気持ちを表に出せず、クラスの雑用係。
 ある日、クラスメートが落とした口紅を手に入れたことをきっかけに、彼女は化粧に挑戦する。
 化粧によってすっきり美しくなったシズ子は、言いたいことをはっきり言うことができるようになり、生まれ変わったように感じる。
 化粧の仕方によって、様々な自分になれるようになり、シズ子は自信を深めていくのだが、化粧のし過ぎがたたり…」
 「赤ずきんの森」(大陸書房)からの再録であります。

・注1
 と大口を叩いてみましたが、2000年以降の怪奇マンガはほとんど読んでおりません。
 念頭にあるのは、さがみゆき先生や好美のぼる先生が云十年前に描いたようなマンガだったりします。
 ですので、私の書くことはあまり参考にならないことを、一応、申し上げておきます。

2016年10月19日 ページ作成・執筆

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