菊川近子「マンドラゴラ夢想」(1995年1月12日第1刷発行)

 収録作品

・「マンドラゴラ夢想」
「あゆみのボーイフレンドの祐一は両親を事故で亡くし、親戚に引き取られていた。
 祐一のおじは著名な植物学者で、海外を飛び回っている。
 あゆみが祐一の家を訪ねた際、萎れかかっている、奇妙な植物の鉢を見かける。
 おばが気味悪がって、世話しようとしないので、あゆみが代わって世話をすると、その植物は生気を取り戻した。
 その夜、あゆみは、その植物があゆみと一つになろうと全身に絡みつく夢を見る。
 翌朝、祐一に夢のことを話すと、彼は、その植物はマンドラゴラと言い、様々な迷信があることを話す。
 二人は学校から帰宅後、迷信通りかどうか、黒い犬を使ってマンドラゴラを引き抜いてみるのだが…」

・「笑うマリアンナ」
「秀美と、新しく転校してきた桂子は親友同士。
 まだ町に慣れていない桂子を、秀美は承慶寺に案内する。
 このお寺は人形の供養を請け負っていて、寺で預かっている人形を虫干ししている最中だった。
 どれもいわくや因縁のある人形ばかりだったが、一つだけ美しい少女の西洋人形があった。
 その人形を見た途端、桂子の顔色が変わる。
 気分の悪くなった桂子を庵主が奥に休ませに行っている間、秀美は魅せられたように西洋人形を盗んでしまう。
 その夜から毎夜、秀美は何かに絡みつかれて、締め上げられる夢を見るようになる。
 秀美は次第に憔悴していき、家族にも不幸が起きる。
 そのため、家で独りで過ごすことになった秀美の目の前で、西洋人形は本性を現すのだった…」

・「凍る足跡」
「鮎美の友人、尾関咲子の母親は厳しいことで有名。
 何かにつけては、咲子をいびり倒す。そのためには、あらぬ罪をなすり付けることさえする始末。
 それもそのはず、咲子と今の母親は血のつながりはなく、父親が他の女性との間につくった子供だった。
 父親は婿養子の立場で、財産は全て母親のもので、無力な立場にあった。
 しかし、その母親が急に行方不明となり、父親が咲子の前に実の母親を連れてくる。
 咲子は前の母親が殺されたのではないかと疑い、冬休みの間、鮎美に家に泊まりに来るよう頼む。
 その夜、鮎美の前に、びしょ濡れになった着物姿の女性が現れ、助けを求める。
 その家には新しくつくられた池があり、水の跡が鮎美のいた部屋から池へと続いていた…」

平成27年4月23・24日 ページ作成・執筆

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