犬木加奈子「真夜中の迷路」(1989年8月11日第1刷・1995年6月5日第11刷発行)

 収録作品

・「真夜中の迷路」(「昭和63年発行 少女フレンド第14〜18号」所載されたものに加筆)
「夏の夜、潰れた迷路館に呼び出された、マミ子。
 それはマミ子を快く思わない、三人の少女の企みであった。
 三人に脅かされ、心臓の弱いマミ子はショック死してしまい、三人は死体を放置して迷路館から逃げ去る。
 後日、三人はその迷路館がリニューアルして、再開されることを知る。
 マリ子の死体を確かめるために、真夜中、三人は迷路館を訪れる。
 そして、迷宮の中、自分の真の姿と向き合うこととなるのであった…」
 傑作です。
 時が経って、内容は覚えていなくても、ラストはいまだ鮮明に記憶に刻まれている人は多いのではないでしょうか? 

・「おやすみ」(「昭和63年発行 少女フレンド9月1日号増刊 サスペンス&ホラー特集号」所載)
「童話のような夢を見たいと願う少女。
 彼女の枕もとにある本は…
「金の斧 銀の斧」
 わがままな領主の娘は、きこりの息子、ジャックにちょっかいを出す。
 その際、あやまってジャックを斧で殺害してしまう。
 困った娘はジャックの死体をある湖に沈めるが、その湖には精霊が住むという噂があった…。
「親指姫」
 いじわるで、冷酷な少女、マリー。
 他の子供に相手にされなくなった少女は、いじめる相手として、妹を神様に望む。
 少女に神様がもたらしてくれた「妹」とは…。
「赤い手袋」
 高慢で嘘つきな少女、エミ―。
 彼女は母親の赤い手袋を持ち出して、友人達に見せびらかす。
 しかし、いつの間にか、片方をなくしてしまい、大慌て。
 そんな時、ある店のショーウィンドウに同じ手袋を見つけ、店の主人に売ってくれるよう頼み込む。
 しぶっていた店主であったが、このことを誰にも言わないと約束するなら、少女に譲ると言う。
 ただし、もしも、約束を破ったら、エミ―を殺しに行くと警告するのであった…」

・「かなえられた願い」(「平成元年発行 少女フレンド3月10日号増刊 サスペンス&ホラー特集号」所載)
「悪魔を捕まえる方法について書かれた本。
 その方法とは、満月の13日の金曜日、午前零時に手鏡を二つ合わせ、悪魔が鏡から鏡へとび移る瞬間に、小瓶に封じ込めるというものであった。
 その際、悪魔は、逃がすことと引き換えに、一つだけ願いを叶えてくれるのだと言う。
 その本を手に入れた少女達は、悪魔に何を願うのであろうか…?
「第1一話 自由への風景」
 全て他人が悪いと考える、自己中心な少女。
 彼女の唯一の慰めは、美術館にあるボートの上で安らぐ少女の絵であった。
 ある日、母親にも、他人に責任転嫁をしている少女自身が悪いと責められた少女は、悪魔の力を借りて、現実からの逃避を試みる…。
「第2話 恋の媚薬」
 自信過剰な少女、ラン子。
 自分にふさわしいのは最高に格好いい男の子を思い込んではいるが、全く相手にされない。
 素敵なボーイフレンドを望む彼女に、悪魔がもたらしたものは…?
「第3話 毎日が誕生日」
 今日は、金持ちの娘、ネネ子の誕生日。
 友人達を大勢招いて、豪勢なパーティを開くが、ネネ子の真の目的は、自分の家が如何に裕福か誇示することにあった。
 何ひとつ不自由ない彼女が悪魔に願うこととは…?
「第4話 おしゃべりな口」
 おしゃべりな少女、カネ子。
 平凡な家庭に平凡な毎日、他人の噂話でもしていなければ、やってられない。
 ふとしたきっかけで、カネ子が悪魔を捕まえるものの、おしゃべりばかりで願い事が決められない。
 そんなカネ子に悪魔がした提案とは…?」
 後にシリーズ化される作品です。
 冒頭の見開きは、オーブリー・ビアズリーもしくはエドワード・ゴーリーにでもインスパイアされたのでありましょうか?(謎です。)

・「聖夜の贈り物」(「1989年発行 フレッシュフレンド冬の号」所載)
「明日はクリスマス。
 わがままな金持ちの娘、リイリイは母親に新しい人形をねだる。
 うまく約束を取り付けたリイリイは自室に戻ると、古い人形を片端から破り捨てていく。
 その夜、サンタが「よい子たち」にプレゼントを持ってくる。
 そして、「悪い子」には…?」

2016年10月5日 ページ作成・執筆

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