松本洋子「死を唄う星座」(1994年6月6日第1刷発行)
収録作品
・「死を唄う星座」(「なかよし」1993年9月号〜10月号掲載)
「高野まひろ(高校一年生)は夏休みのアルバイトのため、「星のふる里」というペンションを訪れる。
ペンションのオーナーは山科織江という女性で、姪の山科由布子(ゆうこ)が手伝いをしていた。
客は、天文部の高校生が六人で、目的は流星雨を観察するためであった。
夜更け、彼らが野外で天体観察をしていたところ、林の中で白っぽい服を着た女性の幽霊が現れたと騒ぎになる。
オーナーはそれはムササビだと説明して、一旦は収まったものの、翌朝、天文部の一人、藤崎怜が密室で刺殺された状態で発見される。
警察に連絡しようにも、何者かに電話線を切られ、唯一の外界との道である吊り橋は落とされて、彼らは孤立。
霊感を持つと自称する川谷深月は、霊を仕業と主張し、その後、新倉潤一が、何者かに操られるように、自分で自分の喉をナイフで刺して死亡する。
深月の提案により、彼らは降霊会を実施すると、涼子と名乗る霊が現れる。
涼子は以前、このペンションで働いていたらしいのだが…」
・「霧と炎と殺人と」(「なかよし」1993年夏休み号掲載)
「第1話 ふりむけば霧」
霧深い日、気が付くと、トレイシーは墓場にいた。
そこで、彼は恋人のフレッドと会うが、触ろうとしても、彼の身体を通り抜けてしまう。
彼女は、フレッドに亡くなった兄がいたことを思い出すのだが…。
「第2話 炎の戦慄」
杉原硝子は、感情が高ぶると、自分の意思に関係なく、自然発火させる能力を持っていた。
そのために、幼い頃から、トラブルが絶えず、母親は精神的ショックでずっと入院、中学生になっても、何かあるたびに転入を繰り返していた。
他人と必要以上に触れあわないよう、硝子は心を閉ざすが、転入先の中学校で、矢野司という男子生徒に恋をする。
彼に励まされ、彼女は変わる決意をするのだが…。
「第3話 時の館」
岬有夏里は毎晩、同じ悪夢に悩まされていた。
夢の中、どこかの館で、彼女は大きな古時計の中に隠れている。
時計が12時を指した時、知らない女性が彼女を殺そうとするところで夢は終わるのだった。
夏休み、有夏里はおじの家に宿泊することとなる。
そこに向かう途中、湖の向こう岸に、夢で見た館を目にするが、そこにはそんなものはないと言う。
だが、いとこ達から、変な夢を見ているという緒方和人という青年の話を聞き、夕夏里は興味を持つ。
翌朝、湖に向かう途中、彼女は緒方和人と出会う。
彼も夕夏里と同じように、自分が殺される悪夢に悩まされており、スケッチブックには、彼女の夢と同じ館が描かれていた。
二人は、確認をするため、湖に行くと、ないはずの館が向こう岸に見える。
いとこの士郎と早苗は、ボートで館に出かけるが、それきり行方不明となる。
いとこ達を捜すため、また、夢が予知夢であれば、死ぬ運命を変えるため、有夏里と和人は、湖畔の館を訪れるのだが…」
2020年5月27日 ページ作成・執筆