こいわ美保子「真夜中のシンデレラ」(1982年2月5日第1刷・1985年8月31日第16刷発行)

・「第一話 魔少女誕生」
「和宮ルリは、ハーフの少女。
 外国人の父親に捨てられ、母親にも先立たれ、祖母がお手伝いをしている屋敷に引き取られていた。
 ルリはシンデレラに憧れるが、いくら魔法の呪文を唱えても、素敵な服もお人形も彼女の手には入らない。
 彼女が五歳の時、お邸のお嬢様、安積徳子と共に、徳子の友達の誕生パーティに呼ばれる。
 徳子に綺麗なドレスを借り、パーティの華やかな雰囲気に、ルリは心からうっとりする。
 だが、パーティが終われば、このドレスを徳子に返さなくてはいけない。
 ルリはこの服を自分のものにすべく、邸に放火、徳子とその母親は焼死する。
 十年後、聖エリス学園で、ルリは皆の憧れの的となっていた。
 美人で、頭がよく、優しく、身に付けているのは一流品ばかり、そして、多くの取り巻き達。
 徳子を亡くした安積氏は、寂しさを紛らわすために、彼女を実の娘のように可愛がり、彼女は、子供の頃に夢見た「お姫さまみたいなくらし」を手に入れた。  だが、彼女の生活に暗い影を落とす出来事が起きる。
 死んだはずの徳子が、彼女のクラスに転入してきたのであった…」

・「第二話 魔少女の野望」
「聖エリス学園の高等部に進んだルリ。
 彼女は、学園での「真の女王」になるために、一年生であるにもかかわらず、生徒会長の選挙に打って出る。
 対するは、副生徒会長を務めた、二年生の九条真理子。
 彼女には、現生徒会長で、冷徹な西園寺氷見子の息がかかっていた。
 ルリは、真理子に秘密の恋人がいることに勘付き、彼女を陥れるために、あらゆる卑劣な手段を駆使する…」

・「第三話 魔少女の涙」
「生徒会長になったルリは、今まで以上に自由奔放に振る舞う。
 窮屈な学園生活が開放的になったことでルリの人気は急上昇するが、その一方で、西園寺氷見子を筆頭とする、彼女を敵視する一派もあった。
 新聞部部長は、ひそかにルリのことを中傷するビラが生徒達の間に広める。
 ルリに対する反発は高まっていき、遂には、ルリを生徒会長からリコール投票へと発展。
 窮地に追い込まれたルリであったが、一人、彼女をかばう少女が現れる…」

・「最終話 魔少女の幸福」
「ルリは、父親の勤め先関連のパーティで、コサードという外国人男性と出会う。
 四十歳でいまだ独身の彼は、実は、日本に昔の恋人を探しに来ていた。
 彼の青い瞳を一目見て、ルリは彼に魅了される。
 また、コサードはルリに昔の恋人の面影を見出す。
 一方、ルリの悪事が明らかになる時が来る。
 二人の愛の行方は…?」
(「なかよしデラックス」昭和51年4月・7月・9月・12月号掲載)

 関よしみ先生のウルトラ・ヘビーな「魔少女転生」との共通点が多い作品ですが、関先生によると、担当が同じ編集者だったとのことです。(注1)
 と申しましても、ジャンルとしては「悪女をヒロインに据えたサスペンス」で、「魔少女転生」のような派手な残酷描写はありません。
 でも、「○○○○○」とか「○○」とか「○○○○」(ネタばれのため伏字)(注2)といった、ヘビーな要素が盛り込まれていて、とても「なかよし」関連誌に掲載されたとは思えない内容です!!
 非常に丁寧に描かれている良品なのに、いろいろと内容に問題ありと判断されたのか、それとも、単に埋もれてしまったのか不明ですが、その後の復刻には恵まれておりません。(注3)
 あと、こいわ美保子先生の後日情報なのですが、徐々に「○○○○○」に傾倒していき、漫画からは遠ざかったと関先生から聞きました。(もしも、詳しい事情をお知りの方がいらっしゃいましたら、情報を提供していただけると、幸いです。)

・注1
 詳細は、関よしみ先生「魔少女のおもちゃ箱」のページを参照にしてください。

・注2
 どうしても気になる人のためのヒント/「集○○○め」とか「発○」とか「○○相○」

・注3
 本書は、古書専門店では二〜三千円ぐらいのプチ・プレミア価格が付いているようです。
 私は電子書籍についてはさっぱりわかりませんが、復刻する価値は十二分にあると思います。

2017年8月29日 ページ作成・執筆
2018年6月11日 加筆訂正

講談社・リストに戻る

メインページに戻る