菊川近子「夜のトライアングル」(1984年8月14日発行)

 収録作品

・「夜のトライアングル」(原作/池田悦子)
「桧垣工業の一人娘、亜矢。
 彼女とエンジニアの広田卓は恋仲であったが、亜矢は銀行頭取の鳴海家の息子との婚約が決まっていた。
 許嫁の誕生のパーティの前に、亜矢と卓はドライブに出かける。
 その帰途、豪雨の中、亜矢がパーティに帰りたくないと卓にすがりついた際に、ハンドルが取られ、橋のたもとにいた女性に目がけて、車が突っ込む。
 女性の安否を確認する暇はなく、氾濫する川に流されそうな橋を危機一髪で渡り切る。
 轢き逃げをしたという罪の意識に苛まされているところに、誕生パーティの最中に、母親が病気の発作で急逝する。
 母親の葬式の時、派手に着飾った娘と、左頬に醜い傷痕のある女性が桧垣家を訪れる。
 二人は亜矢の父親に取次ぎを求めると、その日から屋敷に住み始める。
 二人は好き放題に振る舞うが、亜矢の父親は何も言わない。
 亜矢は、轢き逃げをした女性とその娘が父親を脅迫していると考え、苦悶する。
 瑛子と彼女の母親の目的は一体何なのだろうか…?
 そして、亜矢に鋭い牙を剥く人物がもう一人存在していた…」

・「蛇霊の島」
「日下部南海子と友人のかおりは、ピアノの練習のため、別荘のある尾向島を訪れる。
 その島では白蛇を信仰しており、よそ者に対して非常に冷たかった。
 船が島に着いて間もなく、南海子は、神代家の屋敷で、座敷牢に閉じ込められた女性に会う。
 彼女は出すよう懇願するが、家の主人と彼女の亭主の篠山は頑として聞かず、主人は南海子に島を出るよう勧める。
 話に聞いた通り、島には至る所、白蛇がうじゃうじゃおり、蛇の苦手な南海子は真っ青。
 翌日、買い物に出た彼女は篠山と会い、彼の妻についての話を聞く。
 彼の妻は白蛇を殺したためにその霊に憑りつかれ、蛇が身体から出ていくまで、座敷牢に閉じ込めていたのであった。
 半信半疑ながらも、南海子は篠山の妻から白蛇の霊が離れる場面を目にする。
 そして、詳しい話を聞くうちに、現在、寝込んでいるかおりと話の内容が符合することに気付く。
 かおりの身に一体何が起こったのであろうか…?」

・「転生」
「由香の飼っている猫のマリは不思議な猫。
 死期が近づくと、姿を消し、何日か経つと、そっくりな子猫が現れる。
 由香の父の話によると、マリは転生を繰り返しながら、内藤家に何代も住んでおり、家の危機の際には救ってくれるという。
 父の話を聞いた由香は感激して、マリを大切にする。
 そして、時は流れ、由香が年頃の娘になった時…」

 講談社の「コミックロマンミステリー」と同内容です。
 ただし、こちらには「私の呪術体験」という「おまけのページ」が2ページ追加されております。マンションの上階に住むトラブルメーカーに呪いをかけてみたら、という内容で、なかなか面白い話でした。

2017年11月21日 ページ作成・執筆

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