広永マキ「メビウスの館」(1986年12月13日第一刷発行)

「元・華族の娘、森岡夏美と冬美の姉妹。
 心臓病を患う夏美は両親の愛と庇護を一身に受け、妹の冬美はそれを羨みながらも、姉が死ぬまでと辛抱する。
 だが、姉が十五歳の誕生日、両親が交通事故で死亡。
 以来、両親の借金の返済等で、森岡家はどんどん傾いていく。
 七年後、使用人が全くいない屋敷で、冬美は夏美の介護に追われていた。
 両親の死のショックから、姉はどこかおかしくなり、性格もわがままでヒステリー。
 姉が鳴らす呼び鈴に戦々恐々とする日々の中、商品を宅配してくれるスーパー店員、田川次男の存在が冬美にとって慰めとなる。
 ある日、冬美は次男から、姉か自分かを選ぶよう迫られる。
 そのことを姉に知られ、思い余った挙句、冬美は姉を殺害、屋敷の金庫に死体を隠し、壁紙で偽装する。
 屋敷を出て、次男との新生活に入った冬美であったが、絶えず、姉の影が彼女につきまとう。
 そして、メビウスの輪の如く、冬美は、姉を殺した屋敷で、その報いを受けることとなる…」

 1980年代に、描き下ろしの怪奇マンガの単行本を十数冊残した、広永マキ先生。
 絵柄も内容もぶっちゃけ「薄味」で、怪奇マンガ・マニアの間でもほとんど話題に上ることはありません。
 でも、蓼食う虫も何とやら、私、広永マキ先生の作品がまあまあ好きなのです。
 様々なテーマで作品を描かれておりますが、作品の根本となるテーマは「姉との確執」。
 「メビウスの館」も、そのテーマがダイレクトに反映されております。
 ただ、ここまで救いのない話にしなくても良かったような…。

2017年12月25日 ページ作成・執筆

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