渡千枝「幽霊たちの舞踏会」
(1985年8月14日第1刷発行・1991年11月25日第25刷発行)
収録作品
・「幽霊たちの舞踏会」(「別フレDXジュリエット 1985年1月号」掲載)
「ブラックモア夫人の住む屋敷は、幽霊屋敷として有名であった。
高齢の夫人が屋敷を売りに出すと、三つの観光会社が名乗りを上げ、三人の代表者が一週間滞在した後、競売にかけられることとなる。
それに顧問弁護士が立ち会う予定であったが、彼は足にケガをして、妹のロビンと、彼を介抱してくれた青年、ウォルター=ルーレックスが代わりに屋敷を訪れる。
屋敷に滞在するのは、二人の他に、ブラックモア夫人、霊感持ちの女中のターナー、観光会社の代理人であるベイカー、ジョーンズ、パーマー。
早速、屋敷はポルターガイスト現象で彼らを迎えてくれるが、ウォルターは幽霊の存在を決して認めようとはしない。
その夜、ブラックモア夫人が、鏡の破片が身体中に突き刺さった死体で発見される。
しかし、彼女の部屋は密室で、出入り口になりそうなのは、天井近くのわずかに開いた通風口のみ。
警察に連絡しようとするも、電話は通じず、屋敷のある島に通じる吊り橋は何者かによって落とされていた。
翌日、夫人の遺体が消え、殺人の痕跡もなくなってしまう。
幽霊の仕業なのか、それとも、中の誰かの仕業なのか、疑心暗鬼のうちに、一人また一人とおかしくなったり、失踪していく。
ロビンは、ブラックモア夫人の行方不明の孫息子、ジェフリーがこの事件と関連があるのではないかと考えるのだが…」
・「棺いっぱいの花を」(「別冊フレンド 1984年7月〜8月号」掲載)
「親友のブレンダの訃報を受け、ショーナはニューイングランドへ向かう。
孤児のブレンダは、ニューイングランドに祖父がいることが判明し、祖父のいるヘイワード家に移るが、一か月後、自動車事故で亡くなったという。
ショーナは、ソーン父子に送られて、ヘイワード家のあるオークバレーに到着する。
そこは住人がほとんどいない、荒廃した町であった。
町に似合わず、ヘイワード家は豪華な館であったが、住人はショーナに対してよそよそしい。
ヘイワード家の面々は、医師のドクター・セバークと妻のジュリア=セバーク、二人の息子のフィリップ、ボケかけのアガサおば、不愛想な使用人のジョン。
それと、館の主人であるヘイワード氏は、ブレンダの死のショックにより、昏睡状態に陥り、面会謝絶であった。
夜、何者かの気配で目を覚ましたショーナは、ブレンダの死体が棺から消えていることを発見する。
しかし、翌日の葬儀には死体はもとに戻っていた。
実は、この町には、ゾンビが出ると言う噂があり、それで住民のほとんどが逃げ出していたのであった。
ブレンダの手がかりを探すにつれ、謎は深まるばかり。
意を決し、ショーナは、弁護士のマッケイブと共に、ブレンダの墓を暴くのだが…。
そこで明らかになる恐るべき陰謀とは…?」
今も活躍中の大ベテラン、渡千枝先生。
ここに収録されているのは、恐らく、怪奇マンガを描き始めた頃の作品です。
初期の作品故、詰めの甘いところが若干あるのですが、肝心な場面ではグロ描写をバッチリ決めてくれるのは流石です!!
また、「棺いっぱいの花を」は、当時、いち早くゾンビを取り入れた怪奇マンガではないでしょうか?
2019年11月24日 ページ作成・執筆
2022年12月5日 加筆訂正