成毛厚子「無精卵」(1991年7月13日第1刷発行)
収録作品
・「無精卵」(「ミステリーMe1991年4月号」所載)
「キャリアウーマンの享子は、妻子持ちの男性と不倫をしており、妊娠三ヶ月の身。
子供を産みたいが、彼からは離婚調停が終わるまで、子供は待つよう言われている。
ある日、産婦人科を訪れた時に、クラスメートだった芳恵と偶然出会う。
芳恵は妊娠しており、もう六ヶ月とのこと。
芳恵の家に誘われるが、幸せいっぱいの芳恵の姿を目にして、亮子の心は乱れる。
しかし、その幸せそうな生活の裏には…?」
・「蒼ざめた炎」(「ミドリ1991年2月号」所載)
「旦那の不倫で五年ぶりに実家に帰ってきた村上佐智子。
実家には、二十も年の離れた姉と、十八歳になる息子の修の二人暮し。
姉はこの家の当主として厳格な躾を受けたが、婿を取ったのだが、義兄は早くに病死し、以後、母子の二人でこの家を守っていたのだった。
しかし、姉も女の身、修の家庭教師の大学生と肉体関係にあった。
また、修は、子供の頃から、佐智子への想いを胸に秘めていたのだった。
修の佐智子への情欲が噴出す時、惨劇が起きる…」
・「疑惑」(「ミステリーMe1990年8月号」所載)
「片思いをしていた山脇が専務の娘と結婚するというニュースを聞いて、落胆を隠せない女性社員。
彼女はふとしたことから、山脇と知り合う。
食事をして、送ってもらった帰りには額に口づけされ、彼女は山脇の心がわからない。
その際、イヤリングが一つ、スカートに引っかかっていた。
彼女はそれを山脇のフィアンセのものと思っていたが、後日、同じイヤリングを片耳につけている女性を見かけ、その後を尾行するが…。
・「永遠に愛す」(「ミステリーMe1989年12月号」所載)
「あまりに独占欲が強く、恋人に愛想を尽かされた杉浦奈央子。
情緒不安定になった彼女は、薬屋に睡眠薬を求めに行くが、そこで、昔の恋人、山中弘樹と再会する。
恋人に捨てられて、半狂乱になっていた彼女は気絶してしまい、山中の部屋で目を覚ます。
昔と変わらず、奈央子のことを想い続けていた山中の言葉は、今の彼女にはとても心地よい。
しかし、彼の部屋にあるものは…」
・「昼下がり」(「月刊MeーTwin1990年5月号」所載)
「三浪し、バイトもしていない青年。
真昼間から、公園で食事をしていると、鯉に餌をやっている女性を見かける。
彼女が誤って池にブレスレットを落としたのを、彼が拾い上げたのが縁となり、二人は互いのことについて話す。
青年は、喫茶店でバイトをしていた時、彼女の姿を幾度も見たことがあった。
彼女は、正午に喫茶店を訪れると、いつ来るかわからない男性をずっと待っていた。言うなれば、「昼下がりの情事」。
結局、このため、無断欠勤等、度重なり、クビになってしまったと言う。
片や三浪のプー太郎、片や不倫の末、失業した女性はデートをすることになる。
遂には、二人はホテルで結ばれるのだが…」
アダルト・テイストの入った、レディース・コミック寄りの怪奇マンガを集めた単行本です。
個人的には、「フレンド」で描いていたものよりも、面白かったです。
と言いますのも、成毛厚子先生の絵柄やストーリーは、少女向けの「怪奇マンガ」より、大人の女性を対象にした「サイコ・サスペンス」の方が、「水が合ってる」ように思うからであります。
でも、やっぱり「怪奇マンガ」しているところが、素敵です。
平成27年4月21・22日 ページ作成・執筆