蕪木彩子「虫喰い」(1994年4月13日第1刷発行)
収録作品
・「虫食い」(「ホラーハウス」1991年6月号)
「中学三年のまるみは、甘いものが大好きの、おデブちゃん。
クラスメートの久保田貴一にほのかな想いを抱くが、体型のせいで、自分に自信が持てない。
ある日、彼女は、若くてスリムな女性に声をかけられる。
女性は、まるみに「好きなものを食べたいだけ食べてもやせる方法」があると話す。
一度は断ったものの、少しでもやせるならと思い、まるみは女性の家を訪ねる。
家の庭にはキャベツ畑があり、このキャベツの葉をすり潰して、飲めば痩せるらしい。
まるみは、その汁を飲み続けるうちに、皮膚の下で何かが蠢いているような感覚を覚える。
女性に相談すると、ダイエットに効果があるのは、キャベツでなく、それを食べる青虫であった。
この青虫は突然変異らしく、これを一匹食べると、確実に1キログラムは痩せると言う。
腹をくくった、まるみは、虫を飲んで、スリムになり、憧れの久保田貴一とも付き合うようになる。
だが、この虫にはまだ知られていない性質があった…」
・「転校生」(「ホラーハウス」1992年2月号)
「中学二年の清乃は、両親の海外赴任のために、おばの家に預けられる。
新しく通うことになった学校では、東京のシティ・ガール、かつ、名門学校出身の彼女は注目の的。
しかし、スケバン・グループに目をつけられたことから、彼女は陰湿ないじめを受けるようになる。
そんな時、彼女は、隣のクラスの真澄という少女と知り合いになる。
真澄も、清乃と同じ、転校生で、いじめられた過去があった。
遂には、清乃はスケバン・グループにミミズ入り稲荷を食べさせられ、真澄は「なんとかしてあげる」と約束するのだが…」
・「キスされた女生徒」(「ホラーハウス」1991年12月号)
「ナオミは、恋人の雅彦に人形を幾つもプレゼントする。
雅彦はプレイボーイで、何人もの女に手を出し、泣かせてきた。
しかし、ナオミは彼のために小指を切り落とし、自分には呪いで人を殺す力があると脅す。
彼女の作った人形に囲まれ、雅彦は追い詰められていくのだが…。
ナオミの思惑とは…?」
・「孤独な能力」(「あなたの恐怖体験Vol.15」)
「従姉の由美が、自分の部屋で頭が破裂して、亡くなる。
由実の死は、紺野という青年と別れた直後の出来事であった。
彼には奇妙な噂があり、彼と仲が良かった人間は、彼と喧嘩や諍いをした後、皆、怪死を遂げる。
紺野の不思議な能力とは…?」
・「姉妹の秘密」
「鮎美と奈々の姉妹には秘密があった。
それは、幼い頃、姉の主導の下に、父親とその愛人を殺して、庭に埋めたことである。
次に、二人が殺害したのは、奈々に意地悪な家庭教師の中年女。
ある日、女優である母親が、恋人の男を連れて、家に戻る。
更に、姉妹が生まれ育った屋敷を、母親が処分しようと考えていることを知る。
姉の鮎美はそれを阻止するために、母親の恋人の殺害を目論む。
奈々は彼を崖下に誘い出し、墜落死させるが、二人の秘密が母親にばれてしまい…」
・「ディナー」
「山々に囲まれたリゾート地。
そこでは毎年、避暑客が何人か行方不明になっていた。
終業式を終え、友美、悦子、千春が下校していると、ハーフの美青年から道を尋ねられる。
有栖川尚矢と名乗る青年は、日本人の父親とドイツ人の母親を持ち、父親の別荘から散歩に出たところ、道に迷ってしまったという。
これがきっかけで、三人は彼から夕食に招待される。
夕食の席は、彼と三人の少女、それと使用人兼コックの林の五人。
次々と美味しい料理が出されるが、尚矢は人肉食に関する話ばかりをする。
一方、肉屋の娘である千春は、料理の肉に違和感を抱いていた…」
2019年8月29日・9月9日 ページ作成・執筆正