庄司陽子・他「ミステリー傑作選C」(1993年7月13日第1刷)

 収録作品

・庄司陽子「修羅の杜」(1990年「BE・LOVEミステリー」第5集)
「中山彰子は孤児院ちだが、援助者がおり、大学まで行かせてもらえる。
 二十歳の時、彼女は、森の奥深くにある、援助者の邸を訪れる。
 彼女の「足ながおじさん」は、意外なことに、30代の男性で、名前は江森慎一郎、しかも、彼女の従兄かつ許嫁であった。
 戸惑う彼女に、慎一郎はことの次第を説明する。
 彼女の本当の名は、江森彰子で、旧家江森家の正当な後継ぎであった。
 彼女には双子の姉、秋子がいるが、病弱なため、江森家を継ぐことはできない。
 また、彰子が孤児院にやられたのは、江森の血をひく女性が二十歳になると発症する、謎の精神病が理由であった。
 彰子の母も、十九歳で彰子達を産んだ後、二十歳で発症、邸のそばの森に姿を消し、一か月後、死体で発見される。
 そこで、江森家とは全く関係なしに成長させることによって、精神病を抑えることができるのではないかと賭けに出たのであった。
 そして、彰子は二十歳になっても健康であったため、今、江森家の当主として招かれる。
 だが、この館で、彼女は様々な異常な体験をすることとなる…」

・伊万里すみ子「血の薔薇」(1990年「BE・LOVEミステリー」第9集)
「山根由香利の車に突っ込んできたワゴン車。
 運転席の女性はフロントガラスを突き破って、由香利の車に投げ出され、死亡する。
 だが、亡くなった女性は、若い女性を狙った連続殺人の被害者の一人であった。
 その事件以降、彼女のもとには薔薇が一輪ずつ届くようになる。
 薔薇に添えた手紙によると、「あなたの手に5本目のバラが届いた時 ステキなプレゼントを」と書かれていた。
 彼女は、連続殺人犯に自分が狙われていることを知るのだが…」

・あきもと渚「あと1日…」(1991年「BE・LOVEミステリー」第12集)
「木田卓一と鉄子の夫婦は結婚四年目。子供はおらず。
 夫の長期出張中に、伯母を名乗る、まき江という老婆が栃木から訪ねてくる。
 よくわからないまま、鉄子はまき江を迎え入れると、老婆はそのまま、ずるずると家に居ついてしまう。
 何か言おうとしても、じっとしている時がなく、気が付くと、疲れて、居眠りしており、タイミングを掴めない。
 また、言うことがどこかズレているので、ボケているのかと思いきや、ご近所とたちまちのうちに良好な関係を築いて、そんなふうにも見えない。
 そのうちに、鉄子は、まき江の言うことに違和感を募らせるようになる。
 また、ここのところ、家の中は妙にハエが多い。
 まき江のいる部屋にある、風呂敷包みの重箱が原因のようなのだが…」

・英みちこ「氷の中の微笑」(1991年「BE・LOVEミステリー」第14集)
「田代鞠子は金持ちのお嬢さま。
 花屋の店員、柊子は、恋人の柚貴と共に、鞠子との入れ替わりを計画。
 柚貴が仕事でロスに行っている間、彼は鞠子と仲良くなり、帰国後、鞠子を殺害する予定であった。
 鞠子殺害後、柊子は車で事故を起こし、整形手術を受ける。
 術後、包帯を取った顔は鞠子そっくりであった。
 だが、柊子は、田代家で過ごすうちに、母親の眼はごまかせないと不安を募らせていく。
 彼女は柚貴に母親も殺すよう提案するのだが…」

 どの作品も出来は良いですが、個人的にピカイチは伊万里すみ子先生の「血の薔薇」。
 OLが異常性格の殺人犯に狙われるだけの話ですが、残酷描写がやけに豪快で、強烈なインパクトを残します。(いや、本当に!!)
 井出知香恵先生なんかもそうですが、レディコミ作家さんって、サービス精神過剰な人が多いんですかね。
 伊万里すみ子先生の怪奇マンガ、もしも、あるなら、読んでみたいなあ〜。

 あと、さがみゆき先生の娘さんである英みちこ先生の作品も収録されております。
 作品の単行本化はほとんどされていない様子なので、貴重かも。

2021年12月15・16日 ページ作成・執筆

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