庄司陽子・他「ミステリー傑作選E」(1994年3月11日第1刷発行)
収録作品
・庄司陽子「夜叉」(1991年「BE・LOVEミステリー」第11集)
「探偵・京極政高の親戚である西園寺麗子。
彼女は資産家として知られる西園寺一族の長の一人娘で、才媛の誉れが高く、大学卒業を機に、頭取候補の男性と結婚し、遥という幼い娘を授かる。
しかし、十年前、西園寺家に寄宿していた政高と会ったことで離婚を決意。
彼女は彼に会ったことで「恋」を知り、「女」である自覚に目覚めたのであった。
三年後、離婚して、家に帰るものの、政高の姿はすでになく、彼女は失意の日々を送る。
遥が16歳になった時、彼女に家庭教師をつけることになる。
その時、面接に来た佐田良輔という青年に政高の面影を見出し、麗子は一目見て気に入る。
彼女は彼を誘惑し、彼を手に入れたと思うのだが…」
・森谷幸子「魔の家」(1989年「BE・LOVEミステリー」第2集)
「玲子は、父を亡くし、外国人と再婚した母に捨てられ、伯母のもとで暮らしていた。
家庭のことや性への目覚め、従兄の秋生への想い等、思春期の玲子は「奇妙な不安」を深めていく。
夏のある日、おじの経営する酒店の配達に出るが、配達先は、長らく人の住んでいない洋館であった。
そこはきれいに改装され、黒髪の美しい女性と、アル中らしい、やつれた中年男が住んでいた。
彼女は毎日、洋館を訪れ、女性の絵のモデルになる。
女性の仕事はイラストレーターらしく、今の仕事は大人向けにグリム童話をアレンジしたものだという。
この夫婦は一体、何者なのだろうか…?」
・麻乃真純「揺れる柩」(1990年「BE・LOVEミステリー」第5集)
「志保の隣の部屋に越してきたのは、水沢圭子という、夫の不倫相手であった。
圭子は志保に向かって、夫の荘司と別れるよう、ずけずけと言う。
しかも、夜には、窓から見える公園のブランコに乗って、志保達の部屋を窺っていた。
その夜、圭子はブランコから落ち、後頭部を強打し、死亡。
以来、夫は、ブランコの音の幻聴に悩まされるようになるのだが…」
・あきもと渚「微笑む少年」(1989年「BE・LOVEミステリー」第2集)
「鳥飼すず子は新婚旅行中、夫の哲一が行方不明になる。
派出所で事情を説明している時、一人の少女が彼からの手紙を持って来る。
手紙には、仕事の急用で東京に戻るため、青龍旅館に数日、滞在するよう書かれていた。
手紙を届けた少女、つみきとその祖父も同じ旅館に宿を取っていて、すず子は二人と共に旅館に向かう。
そこで、すず子の前に、奇妙な少年が幾度と現れる。
少年は彼女に激しい敵意を抱いているようなのだが…」
この巻の作品は、大ベテランの庄司陽子先生「夜叉」を除いて、どれもイマイチなように思います。
特に、森谷幸子先生「魔の家」は、思春期の少女を描いた意欲作ではありましょうが、よくわからない作品でありました。(私が男だからでしょうか?)
2021年12月20日 ページ作成・執筆
2022年1月20日 加筆訂正