はざまもり「逢う魔が時」(1987年2月14日第1刷発行)

 収録作品

・「逢う魔が時」(「別冊フレンド増刊」1986年夏の号)
「日高葵は、青柳音大付属高等学院に通う少女。
 両親がアメリカ赴任することになるが、彼女は、規則だらけの寮生活を選ぶ。
 というのも、学園長の息子、正樹とひそかに付き合っていたからであった。
 寮生活最初の夜、二人は、生徒は立ち入り禁止とされている林の奥の広場で逢引する。
 だが、その夜以来、葵は心霊現象に悩まされるようになり、このことは、週刊誌の心霊特集でが採り上げられる。
 その記事によると、学園では17年前に、毛利小夜子という女子生徒が亡くなっており、葵の部屋は毛利小夜子と同じ209号室であった。
 葵はこの件で、学園長に呼び出されるが、学園長は、葵を一目見るなり、顔色を変える。
 この学園で過去に起こった事件とは…?
 そして、葵との関係とは…?」

・「2100年かぐや姫」(「別冊フレンド」1985年7月号)
「吉原つぐみは、両親を七年前に交通事故で亡くし、財産家の祖父と暮らしていた。
 彼女は幼なじみの章を好きであったが、仲はそれ以上にちっとも進展しない。
 一人で花火大会に行った夜、彼女はチンピラに絡まれる。
 彼女は、東俊行という青年に救われるが、彼は最近、彼女の高校の三年に転入していた。
 彼女は彼に既視感を覚え、どこかで会ったかどうか尋ねると、「ずっと前に…こどものころ」会ったと彼は答える。
 しかし、つぐみには十年前以前の記憶はない。
 数日後、祖父が脳溢血の発作を起こす。
 親戚の会話から、つぐみは彼女が両親と血がつながっていないことを知る。
 彼女は、両親が自分をもらってきたという「光の子愛育園」を訪れ、園長に話を聞く。
 彼女は、花火大会の迷子として保護されたが、記憶喪失で、一年間、放心状態だったという。
 また、これと同じことを、一月前、東俊之が聞きに来ていた。
 つぐみは、もう少しで何かを思い出しそうなのだが…」

・「凍えたハートの子守歌」(「別冊フレンド」1985年1月号)
「留奈は、同じクラブの椎名のぼる(漢字わからず)に片想いをしていた。
 だが、彼に想いを寄せる少女達は皆、奇怪な体験をする。
 実は、彼には双子の妹、舞がおり、彼女は病弱であった。
 彼女は兄を独占しようとして、彼に近づく少女達に超能力で危害を加える。
 しかし、二年前に、彼の両親は事故で亡くなり、しばらくして、妹も病死していた。
 留奈は、彼を、舞の幽霊から解放しようとするのだが…」

 どの作品も、ミステリー寄りのホラー(or SF)としては、良い出来だと思います。
 ちゃんと、伏線やどんでん返しがあり、構成がきっちりしているところに好感が持てます。
 ただ、「逢う魔が時」は少し引っかかる部分があって、残念…。(死んだと思われた人物が実は生きていた…って、現実にはほとんどありえないでは?)

2021年5月22日 ページ作成・執筆

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