花村えい子「白い仮面」(1985年1月14日第一刷発行)

 収録作品

・「白い仮面」
「アンリの恋人は、大富豪、モンラヴェル家の令嬢、ジャンヌ。
 身分違いの恋のため、ジャンヌはスイス留学の途中、家出をして、フランスの小さな漁村にアンリと滞在する。
 ある日、ジャンヌの運転する車が交通事故を起こし、ジャンヌは大火傷を負う。
 だが、ジャンヌと思われたのは、実は、車に同乗していたヒッチハイカーのコリンヌという娘であった。
 ジャンヌを失い、悲嘆に暮れるアンリのもとに、ジャンヌの父から面会を求める手紙が届く。
 アンリはコリンヌをジャンヌの代わりに仕立てることを決意。
 整形手術によって、コリンヌはジャンヌそっくりに生まれ変わり、アンヌとコリンヌはモンラヴェル家へと乗り込む。
 しかし、そこで待っていたのは、虚偽を虚偽で塗り固める、偽りの暮らしでしかなかった。
 アンリを慕うコリンヌ、亡きジャンヌを忘れることのできないアンリ。
 二人の偽りの暮らしの行きつく先は…」

・「森の家」
「ある夏の夜、雷雨にあい、若い女性が山奥の館に一夜の宿を乞う。
 館には老人が一人で住んでおり、彼女を暖かく迎える。
 翌朝、老人は、女性に四十年前の思い出を話す。
 彼が青年だった頃、橘亜由利という名の娘と知り合う。
 二人は愛し合い、結婚を約束するが、亜由利は病気で若くして亡くなる。
 彼女はて、亡くなる前に、もう一度生まれ変わって、彼のもとに行くと告げ、彼に待つよう願う。
 彼は独身のまま、歳月は過ぎ、中年になった頃に、霧子という娘と知り合う。
 どこか亜由利に似た彼女と彼は激しく愛し合うのであったが…」

 大ベテランなだけあって、完成度は高いと思います。
 怪奇マンガというよりも、サスペンスでありますが、読み応えは充分です。
 ただ、「白い仮面」はラストがちとわかりにくいかも…。
 「森の家」は幽霊譚であります。(ロマンチック・スリラーというものでしょうか。)

2018年5月14日 ページ作成・執筆

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