高階良子「真珠色の仮面」(1975年11月5日第1刷発行)

 収録作品

・「真珠色の仮面」(横溝正史・原作/「なかよし」昭和47年11月・12月号掲載)
「大資産家の一人娘、大道寺あゆ子は、鳴門の渦を見に客船に乗っていた。
 双眼鏡で海を覗いていると、奇妙な小舟が目に入る。
 その小舟には、薔薇を敷き詰めた中、ガラス張りの棺が載っていた。
 ガラスの棺の中には美しい青年が安置されていたが、船員が小舟を引き寄せると、彼は生きていた。
 青年の名は慎一郎ということはわかったものの、その青年は盲目かつ聾唖という三重苦を持つ身で、全く意思の疎通ができない。
 身元不明の慎一郎を、あゆ子は身元がわかるまで、屋敷に引き取ることにする。
 その最中、あゆ子の恋人である、船乗りの志賀恭三が日本に帰ってくる。
 恭三に会うため、港を訪れるあゆ子だが、恭三は見知らぬ男女三人と一緒だった。
 彼らは恭三のいとこと紹介されるが、彼らは皆、あゆ子に対してよそよそしい。
 しかも、慎一郎を、彼らに紹介した時、彼らは明らかに動揺を見せる。
 彼らは慎一郎を知っているのだろうか…?
 そして、次々と起こる、謎の殺人事件…」

・「十字架に血のさかずきを」(「なかよし」昭和49年10月・11月号掲載)
「十七世紀末のフランス。
 宮廷で絶大な権力を持つジラール=ド=フランバル公爵と妻のマリィの間にできた一人娘、ユージェニー。
 しかし、フランバル公爵は、ウロボロス(蛇の形をした邪悪な神)を崇拝していた。
 彼は妻には内緒で、ユージェニーを別の城に移し、血の洗礼を施した後、キリスト教の信仰とは無縁な生活を送らせる。
 十年後、マリィはユージェニーとようやく再会するが、娘はすっかりフランバル公爵によって洗脳されていた。
 マリィはユージェニーを救うよう神に祈るのだが…」
 私見ではありますが、以降の高階良子先生の作品の「原型」のような作品であります。
 悪魔崇拝、血の洗礼、いけにえの儀式、呪いの蝋人形、そして、髪がうねうねした垂れ目キャラ…サイコ〜です!!
 いけにえの儀式の描写は、当時としては、かなりショッキングだったのではないでしょうか?
 結末が急ぎすぎた感があるのが、少々残念であります。

・備考
 最終ページの下に、押印あり。

平成27年6月11・12日 ページ作成・執筆

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