曽祢まさこ「緋色のマドモアゼル」(1993年7月13日発行)
収録作品
・「緋色のマドモアゼル」(昭和54年「なかよしデラックス5月号」掲載)
「フランス。
資産家の娘、アデルは、美しい疫病神。
幼い頃から現在まで、アデル本人にとっては罪のない「わがまま」が、様々な人間に破滅と不幸をもたらしていた。
そんな彼女が運命的な出会いをする。
相手は、高校師範の秀才、ジャン=ルイであった。
聡明かつ徹底して理性的なジャン=ルイと、自分の欲求のみに従って生きるアデルとは、水と油かと思われたが、互いに惹かれ合う。
だが、アデルの「美しい疫病神」としての過去が、二人の間の障害となっていた。
そこで、アデルはジャンに、互いに信じ合い、決して嘘をつかないことを約束する。
婚約パーティの後の一週間、二人はリヨンにあるアデルの屋敷で過ごすことになる。
楽しく一週間を過ごすつもりが、差出人不明の手紙が毎日、アデルのもとに届くようになる。
その手紙は、アデルの過去を弾劾するものであった。
アデルは手紙の差出人を想像し、不安と疑惑に苛まされるようになる…」
・「美里へ…」(昭和63年「なかよし」夏の増刊号・掲載)
「中学三年の早瀬美里のボーイフレンドは、二歳年上の幼馴染の津田勇一。
県下で指折りの進学校に進み、ハンサムというだけでなく、勇一は美里に首ったけ。
美里が小さい頃から何やかやとこまめに世話を焼いてくれて、美里のためなら何でもしてくれる。
十五歳の誕生日に、ファースト・キスも済まし、まさに勇一は美里の王子様であった。
ある日、美里は、別のクラスの広橋修に告白される。
美里は断るものの、学校一のファンキーガッツマンである修はなかなか引き下がらない。
若干押しつけがましい修を美里は持て余し、学校からの帰り道、勇一に愚痴を言う。
数日後、クラブからの帰り道、修はトラックに轢かれそうになる。
原因は自転車のブレーキが切られていたことであった。
このニュースを聞くと、美里は何か引っかかるものを感じる。
もやもやしたまま、広橋修の家に見舞いに行くが、その時、ある記憶が脳裏をよぎる。
それは、小学校に入る前、美里を襲おうとして、勇一に追い払われた犬が、後日、農薬で毒殺されたことであった。
似たような記憶が次々と惹起され、美里はある疑念を抱く…」
「完璧な恋人」をテーマとした佳作だと思います。
ラストは、やっぱり…です。
2016年8月1日 ページ作成・執筆
2017年11月8日 加筆訂正