高階良子「赤い迷路」(1983年10月6日第1刷発行)

「交通事故に遭い、記憶喪失となった柳崎亜里沙。
 覚えているのは、何かすべきことがあり、どこかに向かおうとしていたことだけ。
 彼女と親友だった看護婦、田村紀代がいたお陰で、亜里沙の身元が判明、伯父夫婦のもとに引き取られる。
 亜里沙の両親は昔に亡くなっており、彼女はその死因を知ろうとするが、伯父の家族は口を濁して、語ろうとしない。
 また、いとこ達はどこか彼女に対して様子がおかしく、亜里沙は軟禁状態に置かれる。
 ふとしたことから、亜里沙は、自分の両親が、パトカーに追跡され、海に車ごと転落して亡くなったことを思い出す。
 両親が犯罪者なのかどうか確かめるために、亜里沙は伯父の邸から脱走する。
 その彼女の前に現れたのは、黒ずくめのスーツにサングラスをかけた、長身の男、「シャドウ」であった。
 彼は亜里沙を麻薬中毒者となった女性とその赤ん坊のもとに連れて行く。
 その悲惨な境遇に心を引き裂かれ、亜里沙は警察に通報し、その場から逃走。
 シャドウの仕打ちから、亜里沙は自分の両親が麻薬密売者だったのではないかと考える。
 その後、シャドウに送られ、自分と親友だった紀代の勤める病院を訪れる。
 紀代によると、三年前、亜里沙の両親が亡くなったのは単なる自動車事故であり、その事故で亜里沙は行方不明になったと話す。
 それ以降、伯父の一家は亜里沙の両親の邸と財産を管理していたのであった。
 また、ある偶然から、亜里沙はアメリカから成田空港へ飛行機で来ていたことも明らかになる。
 彼女はもっと自分のことを知ろうとするが、その矢先に、紀代は何者かに銃撃され、死亡。
 更に、犯人と目星を付けた伯父夫婦も亜里沙の目の前で射殺されてしまう。
 亜里沙の失われた過去にまつわる秘密とは…?
 そして、彼女の周囲に付きまとう、シャドウの正体とは…?」

 ジャンルとしては「ミステリー&サスペンス」で、厳密には「怪奇マンガ」ではありません。
 でも、大ベテラン、高階良子先生の作品ですので、雰囲気の盛り上げ方が非常に上手く、緊迫感ばっちし。
 麻薬中毒者の描写や、片目を撃ち抜かれたり、ナイフで心臓を一突きといった殺人の描写も、少女向けにしてはヘビー過ぎで、やはりリストから外せません。

2017年7月19日 ページ作成・執筆

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