関よしみ「魔少女転生」(1994年8月9日発行)

「第一話 闇から来た天使」
「ある町に引っ越してきた家族。刑事の父親と中学生の佐倉真奈、三歳の玲那、そして、祖母の四人家族。
 越してから毎日、玲那は、群集によって両目を貫かれるという夢を見るという。
 玲那は可愛い盛りで、そのつぶらな瞳でお願いをされると、誰にも逆らえない。
 しかし、玲那の言うことに従った人々が次々と悲惨な目にあっていく。
 その最中、真奈は、その町に伝わる「鬼姫伝説」を知る。
「鬼姫伝説」とは、室町時代に遡り、類まれなる美貌で権力者を惑わし、残虐の限りを尽くしたが、徳の高い僧侶により、退治されたというもの。死ぬ間際に、鬼姫は、何度も生まれ変わって、災いをもたらすと言い残したのであった。
 言い伝えによると、鬼姫の生まれ変わりの証拠として、両こめかみの近くに星型のアザがあるという。
 そして、玲那にも同じアザがあった…」

「第二話 新たなる誕生」
「家族が皆、死んで孤児となった佐倉真奈は、親戚の家に引き取られる。
 記憶喪失にかかりながらも、新しい生活に慣れようとする真奈。
 しかし、過去のことを思い出しそうになる度に頭痛に襲われ、記憶が飛ぶことがしばしば。
 そして、記憶がない時には、抑圧された欲望の塊である、もう一人の彼女が現れていたのだった。
 真奈は、自分の両こめかみ付近に星型のアザがあることに気づく…」

「最終話 支配」
「鬼姫に完全に支配された真奈は、周囲の人々を言いなりにして、私立高校に進学。
 そこの女理事長は盲目で、真奈の力は通用しない。
 しかも、女理事長は、真奈が子供の頃、亡くなった母親とそっくりだった。
 女理事長は、真奈の影にひどく邪悪なものを感じ、徹底的に拒絶する。
 真奈は女理事長を憎み、私立高校で数々のトラブルを生徒達に起こさせ、学校の信用はガタ落ちとなる。
 そして、矛先は、真奈の孤独を見抜き、親しくなろうとした理事長の娘にも向かうのだった…」

 トラウマ・マンガとして非常に高名な作品です。徹頭徹尾、不快な描写で満ち溢れております。
 読み返すのがイヤで、後回しにしていたのですが、改めて読み返して、やっぱりイヤでした。第二章のラストや、第三章で真奈に操られた生徒達が積極的に不祥事をしでかしていく描写は、心の底で、黒く重い澱(おり)となって、いまだに澱んでおります。
 いい年こいたおっさんが読んでもこう感じますので、小中学生の多感な時期にこんなものを読んでしまったら、そりゃ〜心に刻み込まれてしまうでしょう。
 ひたすら不快なことを頭を絞り抜いて描かれた、このマンガですが、日常、頭の片隅によぎる殺意や憎悪を的確に捉えており、そこが妙な「リアリティ」を醸し出しているように思います。

平成27年4月3日 ページ作成・執筆

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