高階良子「修学旅行殺人事件」(1981年1月14日第1刷発行)

 収録作品

・「修学旅行殺人事件」(「なかよしデラックス」昭和55年5月号掲載)
「五月亜里は、一歳年上の生垣薫と幼い頃から本当の兄妹のように過ごしてきた。
 薫の父親は資産家で、とある学園の理事長であったが、そんなことに関係なく、二人は絆を深めていく。
 成長しても、二人の間の絆は揺るがず、薫の父親の死の際、彼を支えたのは、亜里であった。
 薫が三年生になった春、薫は修学旅行で京都に出向く。
 だが、二日目の朝、銀閣寺の裏山で死体となって発見される。
 前夜、彼は何者かに呼び出された後、後頭部を殴打され、小川に沈んでいたのであった。
 しかし、学校の生徒達には皆アリバイがあり、また、誰かの恨みを買うようなこともなく、捜査は迷宮入りをする。
 薫は家宝の宝刀と共に埋葬され、数か月後、薫の母親は睡眠薬の多用により死亡。
 一方、亜里は、薫の死後、彼が自分の心の中でどれほど大きい存在だったかを痛感させられ、空虚さを抱えながら、日々を送っていた。
 そんな中、薫の幽霊を学校で見たという噂が生徒達の間で流れ、亜里も窓から生前のままの薫の姿を目撃する。
 真相は、あるホテルに滞在している父子のうち、息子の方が薫にそっくりということだったのだが、亜里はホテルを訪れる。
 確かに、高林祐一という名の青年は確かに薫にそっくりであったが、その父親が言うには、薫とは全くの別人とのことであった。
 そして、三年生になった亜里は京都への修学旅行を迎えるのだが、京都には高林父子の姿があった…」

・「学園祭殺人事件」(「なかよしデラックス」昭和55年8・9月号掲載)
「大瀬美春は大瀬財閥の一人娘。
 大瀬社長の子飼いの大学生、長谷は美春に目を付けているが、彼女は陰湿な長谷をどうも受け付けない。
 美春が好きなのはは、所属する演劇部の部長、源武久であり、彼は明るく、積極的で、人望のあるタイプであった。
 秋の学園祭、演劇部の出し物は、OBの長谷の案もあり、エドガー・アラン・ポーの「黒猫」に決まる。
 だが、「黒猫」は美春の心に暗い影を落とす。
 以前から、美春の周囲では、黒猫をつれた、金髪で碧眼の女性が出没し、執拗な嫌がらせを彼女にしていたのである。
 ある日、舞台裏に一人呼び出された美春は、その女性にナイフで襲われる。
 反射的に、美春は舞台の小道具の斧を彼女の胸に叩きつけてしまう。
 その場に駆け付けた長谷は殺害現場から証拠を処理し、死体を木の下に埋める。
 長谷に秘密を握られた美春は源から距離を置くようになるが、その表情は暗く沈んだままであった。
 美春の態度を不審に思った源は独自に調査を始める…」

 「修学旅行殺人事件」はちと「御都合主義」で、イマイチでした。
 「学園祭殺人事件」は、ポー「黒猫」の知識がないと、わかりにくいかもしれません。
 私はエドガー・アラン・ポーにさっぱり魅力を感じませんので、こちらもイマイチに感じました。

2017年7月21日 ページ作成・執筆

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