梅野花「学園伝説ハサミ女」(2012年8月10日初版発行)

・「隣のヨミさん」
「ある町に伝わる、ヨミさんの噂。
 ヨミさんは、自分の容姿を悲観して自殺した女子高生で、彼女を溺愛していた父親はその死体を剥製にする。
 その後、父親の変死体が発見されるが、ヨミさんの剥製は遂に見つからずじまいであった。
 以来、ヨミさんは、完璧な容姿を手に入れるため、様々な学校の美しい女生徒を襲っては、気に入った人体の一部を剥ぎ取っているのだという。
 そのヨミさんの仕業なのか、ある高校で、きれいな女子生徒達が次々と事故に遭う。
 凄い美人だが、高慢ちきな、こよいは、彼女達の災難を喜んでいるようなのだが…」

・「暗闇ちーちゃん」
「智宏が小学一年生の頃、一緒に遊んでいた、不思議な女の子、ちーちゃん。
 いつも暗闇にいて、本名も住所も顔すらもわからない。
 およそ十年後、高校生になった彼の前に、ちーちゃんが再び現れる。
 黒い髪で顔は覆った彼女は、彼に、昔のように一緒に遊ぼうと言う。
 その夜、ちーちゃんと一緒に遊んでいた直也から電話がかかる。
 智宏がちーちゃんについて話すと、直也はあまり関わらないよう警告する。
 過去に、智宏とちーちゃんが交わした約束とは…?」

・「ト・モ・ダ・チ」
「佐久間詩織は内気な少女。
 友達のいない寂しさを紛らわすため、ペットショップで「新種」と書かれた生物を買い、水槽で育て始める。
 どういう種類の生き物かは全く謎で、とりあえず、肉食で、獰猛。
 薄桃色の外見から、詩織はその生物に「桃」と名付ける。
 詩織はどんどん餌をやり、桃はぐんぐん成長していく。
 だが、ある朝、共喰いをしたのか、桃は一匹だけになり、大きさも水槽ほどになる。
 そして、詩織が学校から帰宅すると、桃は、彼女そっくりに変化していた…」

・「ハサミ女」
「宮下明日香、佐倉志保、田村胡桃は仲良し三人組。
 彼女達は夜更け、「ハサミ女の家」に肝試しへ行く。
 その家には昔、「ハサミ女」と呼ばれる女性が住んでおり、彼女は顔中傷だらけで、ハサミを持ってうろついていたらしい。
 彼女の死後、その住処は廃屋となるが、いろいろな奇怪な噂が飛び交っていた。
 その噂に便乗して、明日香は、佐倉志保を脅かすための策を巡らす。
 彼女は、高ビ〜な志保を内心ではひどく嫌っていた。
 彼女の思惑通り、ことは進むと思われたが…」

 「都市伝説」をテーマにした怪奇短編集ですが、ストーリーに捻りがあり、読ませます。
 また、「ちゃお」ホラーよりも、年齢が高い層向けに描かれたせいでしょうか、異様にドロドロしているところもいいです。(ちょっとドロドロし過ぎかも…)
 どの作品も水準以上だと思いますが、個人的なベストは「ト・モ・ダ・チ」。どうせ荒唐無稽ならと開き直っている感じに好感を持ちます。ラストの切れ味も鋭い。
 あと、「暗闇ちーちゃん」や「ハサミ女」に、高港基資先生や野口千里先生の影響があるのかな?…との印象を抱きました。(私の勘違いかもしれません)

2019年2月22日 ページ作成・執筆

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