西尚美「封じられたメモリアル」(1994年7月13日第1刷発行)
収録作品
・「封じられたメモリアル」(1993年「mimi Carnival」7月号)
「寿美は、「白蘭会館」の社長の息子、尾関雄矢と恋仲。
雄矢は白蘭会館の別館の支配人に抜擢され、大張り切りであった。
オープンして一番目に式を挙げるのは、二人の親友、由利と浜のカップルであったが、浜が旅行先で飲酒運転により事故死する。
それから二年後、親友の水谷琴江と達海が同じ式場で結婚式を行う。
だが、式の途中で琴江は失踪し、その夜、着つけ室で首吊り死体となって発見される。
琴江は、結婚式の前から嫌がらせを受けており、鬱病による自殺とされる。
この自殺騒動のために、別館は閉鎖され、挫折した雄矢は無気力となっていく。
雄矢と寿美の間には秋風が吹き、それを煽るかのように、彼女に嫌がらせがされるようになる。
この嫌がらせは「花嫁衣裳」(きんらんどんすの帯しめながら、花嫁御寮はなぜ泣くのだろ)という歌と、木彫りの花嫁人形のオルゴールが絡んでいた。
寿美はこれらのものが由利や琴江の悲劇にも絡んでいたことに気付く。
更には、過去、寿美達がK温泉に出かけた際、女湯を覗いた痴漢を捕まえたことにも関係があった…」
・「私という他人」(1993年「mimi Carnival」10月号)
「紅茶店の店主、佐藤真理子は、総合病院の医師、貴史と恋仲。
一見幸せそうに見える彼女には一つ、大きな不安があった。
実は、過去に、彼女は、父親の生命保険で、整形していたのである。
そんな時、彼女は、自分と瓜二つの女性に出会う。
彼女こそは、中学校時代の真理子が憧れて、同じ顔に整形した佐藤麻梨子であった。
麻梨子はアメリカに移住していたが、帰国した際、真理子と偶然出会ったらしい。
これをきっかけに麻梨子は真理子に接近し、彼女に生活に押し入ってくる。
アメリカに帰国するまでの辛抱と、真理子は彼女のわがままを聞くが、その間に、麻梨子は彼女になりかわっていく。
貴史まで奪われそうになり、真理子は麻梨子と話をしようとするのだが…」
・「闇からの助言者」(1994年「mimi Carnival」3月号)
「女子大生の絵奈の彼氏は、バーテンダーの基也。
二人の間にはすれ違いが多く、絵奈はストレスをたまっていた。
そんな時、彼女のマンションに、戸田法律事務所から間違いファックスが届き、絵奈は、送り先を間違えている旨、ファックスにて送り返す。
これをきっかけに、絵奈と戸田弁護士の間でファックスがやり取りされるようになる。
絵奈は戸田に、基也について相談し、戸田は親切丁寧に返信してくれる。
そのうちに、彼から絵奈のもとにプレゼントが届くようになる。
更に、基也も危険な目にあうようになり…」
怪奇ものというよりは、作者お得意のサスペンス&ミステリーです。
個人的には、「私という他人」の出来がかなりいいと思います。
2020年12月13日 ページ作成・執筆