鹿野景子「妖女の誘惑」(1986年10月14日第一刷発行)

「中世のイタリア(だと思うが…)。
 ロミュアールは寄宿制の神学校での最優等生で、敬虔な青年であった。
 ある夜、コンチニイ公の死を機に、彼は学長と共に公の邸を訪れ、公の妾、クラリモンドと出会う。
 彼は、彼女に心惹かれる気持を無視するも、叙階式の前夜、彼女に呼び出され、彼女を抱く。
 しかし、彼の十字架のペンダントを見て、彼女は姿を消してしまう。
 翌日の叙階式を経て、神父となった彼は、鄙びた村を任地に選ぶ。
 そこで、バルバラ婆さんと、前任者の遺した雌犬、シーナと共に、新米神父としての生活が始まる。
 ある嵐の夜、彼のもとに、アラビアンな服装の男がやって来て、瀕死の主人に終油の秘蹟を捧げて欲しいと頼む。
 男の主人とはクラリモンドで、二人が邸に着いた時には、既に亡くなっていた。
 ロミュアールは彼女への想いに気付き、涙を流して、彼女の手の甲に口づけをする。
 以来、毎夜、彼女の召使が、彼を迎えに来ては、都市でクラリモンドと共に贅沢と官能の限りを尽くす。
 だが、朝、目覚めると、そこは家のベッドで、彼にとっては夢にしか思えない。
 一方、村出身の娘、アマリアは、彼が貴族として遊びほうけている様を目にして、ロミュアールの親友、セラピオンに報告する。
 彼はロミュアールとクラリモンドが一緒にいるところを確かめに行くが、クラリモンドは彼の亡き母親とそっくりであった。
 セラピオンはクラリモンドについて調べていくにつれ、三百年前に悪魔崇拝をして皆殺しにされた、貴族の一族の娘であることが判明する。
 また、ロミュアールもクラリモンドが魔性のものであると気づくが、彼は平静にそれを受け入れ、彼女のために血を捧げる。
 セラピオンは、ロミュアールを救うため、クラリモンドをこの世から抹殺しようとするのだが…」

 お気に入りの作品です。
 理由はよくわからないのですが、何か好きなんですよね。(ツボにはまっているのでしょう。)
 桃園書房から「死女の饗宴」と改題されて、単行本が出ております。

2019年12月15日 ページ作成・執筆
2020年1月20日 加筆訂正

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