庄司陽子「庄司陽子ミステリー傑作集 雪女」(1994年11月11日第1刷発行)

 収録作品

・「雪女」(1989年「BE・LOVEミステリー」第1集)
「探偵の京極政高と助手の花咲峯子は、休暇で雪国の温泉地を訪れる。
 だが、政高のもとに村の名士の変死事件が持ち込まれる。
 亡くなったのは郡司という初老の男性で、夜、湖に落ちたのだが、死因は心臓麻痺。
 何故、そんな所にいたのかわからないし、どうやら、湖に落ちる前に、何らかのショックで心臓麻痺を起こしたらしい。
 そして、郡司の妻、あゆみは過去に政高と深く愛し合っていた女性(本名は響子)であった。
 だが、彼女が何故、結婚を破棄して彼と別れ、親子ほども年の離れた男と結婚したのか、政高は腑に落ちない。
 事件について調べて行くうちに、郡司にもう一人女がいたことが判明する。
 その女性は、響子の生き別れた双子の妹、静香だという。
 しかし、響子の身元を洗うにつれ、意外な事実が明らかになる…」

・「殺意」(1990年「BE・LOVEミステリー」第5集)
「大谷家当主、大谷総一郎は、孫娘の法子(21歳)にサーベルで切り刻まれて、殺される。
 しかし、加害者にはその間の記憶がないと言う。
 また、彼女は18歳ぐらいまで、夜、寝ながら徘徊することが度々あった。
 翌日、京極政高探偵事務所に、大谷家の顧問弁護士、浅沼から連絡がある。
 弁護士によると、亡くなった大谷総一郎は、法子に全財産を譲るという遺言書を最近、彼女の生活費以外は全て寄付すると書き換えようとしていた。
 だからといって、法子が祖父を殺すとは思えず、彼女は何者かに利用されているのではないかと疑い、彼女のガードを依頼する。
 友人の江古田警部補と共に、京極政高と助手の花咲峯子は大谷家の邸を訪れる。
 邸には、40年もの間執事として仕えた村田、法子の乳母兼養育係の村田、その他に運転手や庭師、コック、メイド等が十人程度。
 そして、当の法子は、人殺しなどできそうにない清純な娘であった。
 だが、京極政高は「なにもかもうますぎる」ことが気に入らない。
 彼は、花咲峯子に使用人の過去を調べるよう指示を出す。
 そこから暴き出される真実とは…?」

・「夜叉」(1991年「BE・LOVEミステリー」第11集)
「探偵・京極政高の親戚である西園寺麗子。
 彼女は資産家として知られる西園寺一族の長の一人娘で、才媛の誉れが高く、大学卒業を機に、頭取候補の男性と結婚し、遥という幼い娘を授かる。
 しかし、十年前、西園寺家に寄宿していた政高と会ったことで離婚を決意。
 彼女は彼に会ったことで「恋」を知り、「女」である自覚に目覚めたのであった。
 三年後、離婚して、家に帰るものの、政高の姿はすでになく、彼女は失意の日々を送る。
 遥が16歳になった時、彼女に家庭教師をつけることになる。
 その時、面接に来た佐田良輔という青年に政高の面影を見出し、麗子は一目見て気に入る。
 彼女は彼を誘惑し、彼を手に入れたと思うのだが…」

・「雨と闇の行方」(1991年「BE・LOVEナイトメア」第4集)
「雨の夜、びしょ濡れの娘がタクシーを拾う。
 行き先は「どこでもいいわ」と言う娘に、運転手は仕方なく適当に車を流す。
 運転手は娘に怪談話を二つするが、一つは定番の美女が忽然と消える話。
 もう一つは、運転手が女の客と共に帰ってこなかったという話で、女に連れて行かれたと噂される。
 その話を聞いた後、娘は自分について話し出す。
 彼女は、恋人と相手の女性を殺してきたのだが…」

 「雪女」「殺意」「夜叉」は、探偵・京極政高が主人公の作品で、単行本の「ミステリー傑作選」にも収録されております。
 「雨と闇の行方」は、奇妙な雰囲気のホラー短編です。

2022年1月20・21日 ページ作成・執筆

講談社・リストに戻る

メインページに戻る