菊川近子「十六歳の悪夢」(1983年12月14日第1刷・1988年10月7日第22刷発行)

 収録作品

・「十六歳の悪夢」(「1983年発行 週刊少女フレンド第9号・第10号」)
「通学のため、一人暮らしを始めた露木絵美は毎晩、幽霊に悩まされる。
 絵美は、親友の階堂真澄に泊まってもらうが、そこに彼女の両親が血相を変えて、訪れる。
 実は、階堂家の血を引く少女は16歳の誕生日を迎えた後、一週間以内に怪死を遂げていた。
 階堂真澄は最近、誕生日を迎えたばかりであり、一週間が過ぎるまで、絵美に家にいてもらい、行動を共にすることとなる。
 真澄の家で、絵美の前に、黒猫をつれた白い着物の少女が現れ、絵美を殺すと告げる。
 しかし、当の真澄は幽霊を視ていないようなのだが…」

・「古井戸は知っている」(「1983年発行 ハローフレンド11月号」)
「笹本苑美の家は純和風のお屋敷。
 苑美の父は、庭にある半ば朽ちかけた井戸を復元する。
 その以降、体調を崩して伏していた、苑美の母親の様子がおかしくなっていく。
 母親は別人のようになり、苑美の目には骸骨の姿となって映る。
 家を飛び出た苑美は、親友の圭子の家に駆けつける。
 苑美の話を聞いた、圭子の父親は何か心当たりがあるらしく、三人は苑美の屋敷を訪れると…」

・「水底からの叫び」(「1983年発行 ハローフレンド8月号」)
「父の仕事の都合で転校が多く、生来の引っ込み思案も加わって、クラスに溶け込めない白井裕美子。
 クラスの優等生である太田美咲にことあるごとに嫌味を言われる毎日。
 そんな裕美子がある時、校庭の片隅に座っていると、長髪の女生徒が彼女に話しかけてくる。
 何故みんなの仲間に入らないのかという長髪の女生徒の問いに、裕美子は事情を説明する。
 裕美子が女生徒の名前を聞こうとした時に、始業のベルが鳴り、その女生徒は姿を消してしまう。
 その夜、裕美子が部屋で夜遅くまで勉強していると、水の滴る音が聞こえ、廊下に出ると、そこにはびしょ濡れの女性が立っていた。
 その女性に見つめられると、裕美子は金縛りにあい、意識を失ってしまう。
 その日以来、裕美子は積極的になり、勉強・スポーツ共に活躍するようになる。
 それを苦々しく思う太田美咲だが、彼女は裕美子が、事故で水死した朝野百合香に似ていることに気づく…」

・「凍る足跡」(「1983年発行 週刊少女フレンド第3号・第4号」)
「鮎美の友人、尾関咲子の母親は厳しいことで有名。
 何かにつけては、咲子をいびり倒す。そのためには、あらぬ罪をなすり付けることさえする始末。
 それもそのはず、咲子と今の母親は血のつながりはなく、父親が他の女性との間につくった子供だった。
 父親は婿養子の立場で、財産は全て母親のもので、無力な立場にあった。
 しかし、その母親が急に行方不明となり、父親が咲子の前に実の母親を連れてくる。
 咲子は前の母親が殺されたのではないかと疑い、冬休みの間、鮎美に家に泊まりに来るよう頼む。
 その夜、鮎美の前に、びしょ濡れになった着物姿の女性が現れ、助けを求める。
 その家には新しくつくられた池があり、水の跡が鮎美のいた部屋から池へと続いていた…」

平成27年4月28日・5月3日 ページ作成・執筆
2021年5月18日 加筆訂正

講談社・リストに戻る

メインページに戻る