風間宏子「殺人のデッサン」(1984年11月14日第1刷発行)

 収録作品

・「殺人のデッサン」
「野島霧子は、ある私立校の伝統ある美術部の部長。
 だが、絵の実力に関しては、部員の星谷香の方が上で、顧問の岩本も彼女にべったり。
 何とか見返そうと思っていた矢先、星谷香が体育の時間に右腕を骨折する。
 香は病院に行くこととなり、霧子は彼女のカバンを教室に取りに行くが、彼女の持ち物の中から一枚のデッサンを見つける。
 それは校舎を描いたもので、構図にしろ色使いにしろ素晴らしい。
 霧子はそれをくすねて、自分の絵の参考にする。
 しかし、岩本先生の指導が入るにつれ、絵は、香のデッサンに近づいていく。
 絵が完成した頃、香が退院して、学校にやって来る。
 霧子は、絵が盗作と指摘されることを恐れて、放課後、こっそり絵を描きかえに行く。
 だが、教室には、ペーパーナイフで刺殺された香の死体があった。
 そして、彼女は血で「ニセ」というダイイング・メッセージを残していたのだが…」

・「赤い殺意」
「プティック「ビクトリア」を経営する有名デザイナー、岡田麗子。
 しかし、服のデザインは全て、妹の杏子によるものであった。
 心臓の弱い杏子は言わば姉の影武者で、実際のところ、姉には美貌以外には、何の才能もない。
 ある日、杏子は、麗子の恋人、桐村文夫と出会う。
 杏子は彼に憧れるが、姉は、杏子が服のデザインをしていることがばれることを恐れる。
 そんな時、杏子のデザインが、新進デザイナーの白木麻知子に流出していることが明らかとなる。
 姉は、杏子が、姉を陥れるために、横流ししたと、彼女をいじめるようになる。
 だが、遂に、文夫が真実を知る時が来る。
 麗子は杏子に掴みかかるが、文夫に払いのけられたはずみに、窓から転落死。
 プティックは杏子が継ぐことになり、白木麻知子から合同ファッションショーの挑戦を受ける。
 だが、杏子の周囲では次々と奇怪なことが起こるようになり…」

・「80日間の花嫁」
「新進女優の小谷ナナは、五つの時に父親を、その十年後には母親を亡くし、女一人で生きるため、女優養成所に通いつめる。
 血のにじむような努力の甲斐あって、女優として成功し、今、女優として最高の栄誉、ゴールデンアロー女優賞を受賞できるかどうかの瀬戸際であった。
 ライバルは、温室育ちのお嬢さまスター、立石えりか。
 彼女の恋人は、柏木財閥の御曹司、かつ、大東映画副社長の柏木圭介で、このままではナナの分が悪い。
 そこで、ナナは、インタビューで、立石えりかが麻薬常習者だという噂を流す。
 これが功を奏し、ナナはゴールデンアロー女優賞を受賞。
 そして、麻薬ルートとのつながりを噂された立石えりかは行方不明となる。
 ナナは、えりかの恋人だった柏木圭介と付き合うようになり、彼を利用するだけのつもりが、すっかり惚れこんでしまう。
 二人は結婚し、新婚旅行でスペインへ行くが、一日目から、圭介は置手紙を残し、失踪する。
 ホテルで一人、彼を待つことに耐えられず、ナナは日本に帰るが、圭介の父親は、スキャンダルを恐れ、ナナを西伊豆の別荘に向かわせる。
 その別荘の近くに、彼女はヨットが停泊していることに気付く。
 中では、著名人達がパーティをしている様子で、中に、行方不明になった立石えりかもいた。
 ナナは拉致され、ヨットへと連れ込まれるが、そのヨットの秘密とは…?」

・「真夜中の天使」
「シベラは、父親の死後、継母とその娘、セーラにいびられていた。
 彼女の唯一の心の支えは、エンジェルからの手紙。
 彼は彼女を心から愛し、励まし、慰めてくれる。
 そして、彼は、いじめられているシベラの復讐をし始めるのだが…。
 エンジェルの正体は…?」

 風間宏子先生の恐らく、1970年代の怪奇・ミステリーものを収録した単行本です。(一番古いのは「赤い殺意」?)
 個人的には、「真夜中の天使」が、恐怖描写に力を入れていて、感銘を受けました。(夢のシーンは秀逸です。)

2021年2月6日 ページ作成・執筆

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