渡千枝「鈴蘭は血の匂い」(1999年4月13日第1刷発行)
収録作品
・「鈴蘭は血の匂い」
「12月、さくらの家に、女の赤ん坊がやって来る。
女児は、病院に咲いていた鈴蘭から「すず」と名付けられる。
さくらはすずを一目見るなり、薄気味悪いと感じる。
妹のあやめは露骨にすずを恐れていたが、数か月後に、洗濯機に転落して死亡。
あやめの葬式の後、さくらの家を、見知らぬ少女が覗いていた。
少女は、さくらに「スズランは毒よ 人間じゃない 魔物と化した邪悪な執念のかたまりよ」と謎の言葉を残し、走り去る。
落ちたハンカチから少女の名前は夏目美乃ということがわかるが、彼女はその夜、喉を喰い破られて亡くなる。
不審に思った、さくらは、ボーイフレンドの緒方義彦を訪ねて、警察で監察医をしている兄に会わせてくれるよう頼む。
義彦の兄によると、夏目美乃を襲った動物は全く不明。
だが、現場には、十センチにも満たない、人間の赤ん坊の足跡があった。
帰宅後、さくらがすずの口の中を調べてみると、猛獣のような牙が生え始めていた。
しかも、母親はそれを全くおかしいと思わず、すずに生肉を与えている。
さくらは周囲にすずの異常を訴えるが、誰も信じてくれないまま、彼女にすずの魔手が伸びる…」
「鈴蘭 忌まわしき侵入者」の続編です。
神経に障る前作と趣は違って、続編ではモンスターものの要素が濃いです。
・「血の叫び」
「はるなは義理の兄の貴志と二人暮らし。
彼女が二歳の頃、両親が離婚し、その三年後に、父親は再婚。
だが、五年前に義理の母親は失踪し、父親も半年前に病死する。
それでも、はるなには憧れの兄がいるだけで、幸せであった。
ある夏の夜、塾からの帰り道に、はるなは、殺人現場を目撃する。
彼女の住む町では、女性が喉を切り裂かれた後、内臓を掴み出されるという猟奇事件が立て続けに起こっていた。
犯人からは逃げおおせたものの、その顔は街灯の逆光で見ることができず、はるなは疑心暗鬼に襲われる。
切り裂き魔の正体は…?
そして、はるなは、家族の真相を知ることとなる…」
2019年12月22日 ページ作成・執筆