宮脇明子「水晶宮の夜」(1996年2月13日第一刷発行)

 収録作品

・「水晶宮の夜」(「週刊セブンティーン」1986年30号〜34号)
「松本喬と彼の兄貴分の吉住はチンピラどもと喧嘩をして、病院に搬送される。
 そこは、院長が世界的権威の脳外科医で有名な病院であった。
 四日に及ぶ昏睡の後、喬は意識を取り戻すが、吉住は喬よりも元気だったにもかかわらず、容体が急変し急死していた。
 心の支えであった吉住を失い、喬は喪失感に苦しむ。
 入院中、彼は見知らぬ少女の夢を幾度も見る。
 彼が涙を流すと、少女も同じく涙を流し、彼に「タスケテ タスケテ…」と訴える。
 そして、ある夜、喬は死んだはずの吉住が外で歩いているのを窓から見る。
 彼は夢に現れる少女を絵に描き、看護婦からこの少女が何者なのか教えてもらうのだが…。
 この病院の秘密とは…?」

・「冬の観覧車」(「週刊セブンティーン」1984年5・6合併号)
「高い場所から町を見下ろし、城や公会堂を指さしている夢。
 吉川恭子はしばしばこの夢を見るが、母はこの話をすると嫌がる顔をするばかり。
 学生生活最後の冬休み、彼女は地方の遊園地でバイトをすることになる。
 電車から降り、駅から一歩踏み出すと、彼女は既視感に襲われる。
 ここは夢に現れた土地であった。
 バイト先の遊園地で、彼女は野球帽の男の子を度々見かけるが、いつもどこかに消えてしまう。
 ある日、彼女が男の子を追いかけると、その男の子は幽霊で、顔半分が潰れていた。
 この男の子の名は立花はじめ。
 町の有力者の後継ぎで、昔、彼と恭子が観覧車に乗っていた時、彼女に突き落とされ死んでしまったという。
 衝撃の事実を知り、彼女は町を去ろうとするが、はじめの幽霊により命を救われる。
 彼女ははじめを殺したのは自分ではないと思い、はじめの異母弟の夏彦の協力を得て、真相にたどり着こうとするのだが…」

・「黄泉に走る…」
「素子の兄の買った、中古のシトロエン。
 素子はシトロエンの窓ガラスに人影を見たり、夜中にライトが勝手についたりするのを見て、気味悪く思う。
 このシトロエンにまつわる忌まわしい過去とは…?」

 セブンティーン・コミックスの再刊ですが、巻末の「まんなかのマリヤ」が「黄泉に走る…」に変更されております。

2015年2月14日 ページ作成・執筆
2024年6月21日 加筆訂正

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