松本洋子「黒の組曲」
(1983年6月6日第1刷・1985年2月28日第8刷発行)

 収録作品

・「黒の組曲」(「なかよし」1983年1月・2月号掲載)
「グリンフォード音楽院出身の天才ピアニスト、リカルド=ドナー。
 19世紀ドイツの作曲家、ラインハルト=シュタルナーの「黒の組曲」は彼しか弾きこなせないと言われる。
 音楽院の後輩、ケティ=マイヤーズ(声楽科)と、彼女の恋人、ジェス=ウィルソン(ピアノ科)はリサイトルの後、リカルドの控室を訪れる。
 楽屋でリカルドと妻のクレールに何やら当たっていたが、二人の飼っている黒猫(ライアード)がジェスの手を引っかいてから、二人の態度は豹変。
 リカルドはジェスにピアノを弾かせ、バートラム・ピアノコンクールに出るよう勧める。
 これを機に、ジェスとケティはリカルド夫妻と関わることになり、ジェスはリカルドからピアノの指導を受ける。
 実は、リカルドは末期の癌で、ジェスを自分の「後継者」にするつもりであった。
 間もなく、リカルドは死亡。
 ジェスはバートラム・ピアノコンクールで「黒の組曲」を弾きこなし、リカルドの再来と絶賛される。
 だが、ケティには、ジェスが彼女の知っていた彼ではないことに気付く。
 リカルド=ドナーの秘密とは…?」

・「天使は闇にほほえむ」(「なかよしデラックス」1982年11月号掲載)
「第1話 ふたりのクルト」
 クルトは病弱なフリーダのせいで、窮屈な毎日を送っていた。
 両親の関心はフリーダに向けられ、他の男の子達とも自由に遊べない。
 ある日、屋根裏部屋に忍び込んだ彼は、タンスの上にあるパチンコを取ろうとして、荷箱を崩してしまう。
 その時、箱に入っていた鬘と女性用衣装が彼にかかり、駆け付けたメイドは彼をフリーダと間違える。
 メイドはフリーダのドッペルゲンガーを見たと騒ぎになり、フリーダはショックで発作を起こす。
 巷では、ドッペルゲンガーが出ると、その人物は近いうちに死ぬと言われていた。
 クルトはフリーダの扮装をして、邸にその噂を広めるのだが…。
「第2話 ビオレットの小さな願い」
 ビオレットは甘えたい盛りの女の子。
 しかし ビオレットの母親は娘に関心を示さず、他家でのパーティにばかり出かけている。
 父親は、以前、潰れかけた会社を妻の財産で救ってもらった手前、あまり強く出ることもできない。
 ビオレットが一人寂しく公園で遊んでいると、いい匂いのする女性が話しかけてくる。
 彼女はとっても優しく、ビオレットが満足するまで遊んでくれる。
 ただし、このことは誰にも内緒にするよう口止めされていた。
 ビオレットは彼女が母親だったらいいのに…と願う。
 女性はビオレットに「とてもかんたんなこと」をすればいいと言うのだが…。
「第3話 しあわせ色のリンジー」
 シャルロットは、恋人のエディに大金持ちの婚約者がいると知り、絶望する。
 彼女は大学の実験室から毒物を手に入れ、自殺を決意。
 そんな時に、おばが娘のリンジーを連れて、泊まりに来る。
 リンジーはシャルロットが大好きで、彼女の部屋に来た時、毒薬の入ったガラス瓶に興味を示す。
 シャルロットはリンジーにこれは「しあわせになれるくすり」で、触らないよう言うのだが…。

・「ベルが鳴ったら…」(「なかよしデラックス」1983年3月号掲載)
「中学生のアイリーナは、母親がもうすぐ出産し、姉になる身。
 そんな彼女のもとに奇妙な電話が度々かかってくる。
 電話の主は「さびしいわ」と訴え、彼女の心を見透かすようなことを言ってくる。
 その声は彼女と同じ年ぐらいの少女の声で、聞き覚えがあるものの、誰の声かはっきりしない。
 電話をかけてきた人物が明らかになった時、彼女はある決断に迫られる…」

 「黒の組曲」は、遥か昔にビデオで観たオカルト映画「悪魔のワルツ」(1971年)がベースなのではないか?と思っていましたが、ネットで検索したところ、どうやら丸パクリのようです…。(注1)
 当時の漫画家では、松本洋子先生と菊川近子先生はきわどい部分が多い気がしますが、そこをあえて目をつぶると、漫画としての出来はまずまずなので、評価に苦しむところです。
 面白いんですけどね。

・注1
 個人的には、小説や映画のパクリはまだ許せます。
 ただし、プロの漫画家が他の漫画家の作品をパクるのは問題があると思います。

・備考
 割れあり。

2022年2月16・19日 ページ作成・執筆

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