渡千枝「鈴蘭 忌まわしき侵入者」(1995年5月12日第1刷発行)

 収録作品

・「鈴蘭 忌まわしき侵入者」(1994年「少女フレンド12月号増刊 サスペンス&ホラー」掲載)
「夏目美乃は、水泳は全国クラスの実力者で、勉強も学内で上位の、優等生。
 しかし、父親が、亡くなった友人の娘、戸倉すずを家に連れて来て以来、全ての歯車が狂い始める。
 すずは表面上は愛嬌たっぷりで明るい娘であったが、美乃は、悪意に満ち溢れた、彼女の裏面を垣間見る。
 すずの策略により、美乃は学校で孤立し、憧れていた先輩もすずに奪われてしまう。
 また、すずは家族をも取り込み、父親はすずを正式に養女に迎え入れようとする。
 そんな時、美乃は、すずは戸倉家の娘でないことを知る。
 真実を知るために、美乃は、すずに案内され、夏目家の別荘近くのN高原を訪れるのだが…」
 続編に「鈴蘭は血の匂い」があります。
 こちらは「悪魔の赤ちゃん」が暴れており、モンスターものの要素が濃いです。

・「魔を呼ぶ家 ―人形―」
「入居者が次々と不幸や災いに襲われる家。
 そこに新しく越してきたのは、女子大の講師、黒木克美(独身)であった。
 彼の専門は「人形史」で、二階の一室には、多くの人形のコレクションが飾られていた。
 この家に移って以来、彼の周囲ではおかしなことが次々と起こる。
 どうも、人形が勝手に動いているようなのだが…。
 人形の秘密とは…?」

・「通りゃんせ 通りゃんせ」
「父親の再婚相手となる寺脇藤代は、ほっそりとして、少女のあどけなさが残る美人であった。
 また、彼女は名門寺脇家の一人娘で、翻訳家兼売れっ子のエッセイスト。
 だが、悠菜は彼女に対する不安を抑えることができない。
 夏休み、父親が出張することとなり、悠菜と兄の功は寺脇家に厄介になることとなる。
 東京郊外にある屋敷は古く立派なもので、敷地内には樹齢五百年といわれる楠が立っていた。
 ここで暮らすようになって以来、悠菜はオルゴールの音を何度も耳にするようになる。
 この音楽は「通りゃんせ」であったが、兄の功はこの音が聞こえていないらしい。
 ある夜、悠菜は、オルゴールの音の出所を確かめようとする。
 音は三階にある物置から聞こえていた。
 翌日、悠菜が物置を調べると、奥には子供部屋があり、オルゴールもあった。
 しかし、オルゴールは錆びついていて、鳴るはずがない。
 不可解なことばかりの中、見知らぬ少女が悠菜の前に現れる。
 この少女の正体とは…?
 悠菜は、クリーニング屋の青年に頼んで、屋敷から出ようとするのだが…」

2019年12月27日 ページ作成・執筆

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