井口かのん「たすけ…て…」(1993年3月13日第1刷発行)

 収録作品

・「たすけ…て…」(1991年「月刊少女フレンド3月14日号増刊 サスペンス&ホラー特集号」)
「遠藤祐花は、恋人の貴が、クラスメートの森岡に盗られそうで気が気でない。
 森岡の手首にはリストカットの痕があり、恋人の気を惹くためと噂されていた。
 焦った祐花は、貴に自分の真剣さを知ってもらうために、自分もリストカットすることを決意。
 自宅で、母親の帰宅時間も計算に入れ、手首をカミソリで切るが、予想以上に深く切ってしまう。
 朦朧とする意識の中、貴が彼女を訪ねてくるのだが…」

・「ほかの誰にもいえない」(1992年「月刊少女フレンド8月8日号増刊 サスペンス&ホラー特集号」)
「山田千秋とももの楽しみは、新米教師との恋愛ごっこ。
 千秋が狙いを定めたのは、大学を卒業したばかりの国語教師、新藤春彦であった。
 春彦は「出崎亘」(モデルは太宰治)のファンであったことから、千秋は春彦に「純粋さ」を見出し、惹かれていく。
 先生相手に真剣になることを注意したことから、千秋はももと喧嘩となってしまう。
 孤立した彼女は自分の想いを春彦に告白するのだが、そこで春彦の男としての本性が明らかとなる。
 「純粋さ」を裏切られたという思いから、千秋はものが食べれなくなり、不登校が続く。
 ある日、彼女を心配して、ももが見舞いに訪れるのだが…」

・「きっと殺される」(1992年「月刊少女フレンド1月20日号増刊 サスペンス&ホラー特集号」)
「ずっと恋愛経験のなかった白鳥さやかは、吉田という男子生徒からデートに誘われる。
 吉田はクラスでも目立たない生徒で、さやかは彼のことを全く知らなかった。
 しかし、吉田は彼女に気を遣ってか、自己主張をせず、折角、ディズニーランドまで来たのに、さやかはちっとも面白くない。
 嫌気がさした彼女は、彼を放って、一人で帰ってしまう。
 翌日、彼女は彼にはっきり断ろうとするものの、体調が悪くなったと嘘をついたことで、断り損ねてしまう。
 それから、二人の間には何もなく、この件を忘れかけた頃、吉田は彼女にストーカーまがいの行動をとり始める。
 さやかは徐々に追い詰められ…」

・「あなたに夜をあげる」(1992年「月刊少女フレンド3月13日号増刊 サスペンス&ホラー特集号」)
「相川涼子の彼氏は、明るくて爽やかで、バスケ部のエースの玲二。
 幸せ絶頂の涼子であったが、ある日の下校途中、落下した鉄筋で玲二が事故死する。
 「たすけたいか…?」という声に、彼女が「なんでもするから おねがい」と叫ぶと、空間が歪み、彼女は病院にいた。
 そこでは手術が終わったところで、玲二は右足だけの骨折で済んだという。
 涼子は安堵するが、玲二の選手生命は終わりであることを知らされる。
 彼を何とかして助けたいと願う涼子の前に、玲二の知り合いの男子生徒が現れる。
 彼は、彼女の願いを叶えてくれるが、それには「代償」が必要であった…」

・備考
 背表紙色褪せ。

2020年8月27日 ページ作成・執筆

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