犬木加奈子「不思議のたたりちゃんC」(1995年1月12日第1刷・1995年7月10日第2刷発行)

・「2月14日(月) チョコっとちがうバレンタインチョコ」
「バレンタイン・デー。
 独占欲の強いヒガミは、黒魔術を使ったチョコをクラスの男子に食べさせ、自分の奴隷にしてしまう。
 好きな男子を盗られた女子生徒達を見かねて、多々里は黒魔術に対抗すべく、ある食べ物をつくる…」

・「3月3日(木) 身がわりびな」
「年頃の女の子には見向きもされない雛人形。
 でも、もともとは、災いを身代わりに受けて、守ってくれる人形が雛人形の起源であった。
 多々里は、今年もクラスメート達が無事に過ごせるよう、たまご人形のお雛様をつくる。
 が、心ないクラスメート達にたまご人形は壊され、たたりはカーテンで簡易雛人形にされ、言葉通りに踏んだり蹴ったり。
 皆の安全を願う、多々里の気持ちを踏みにじったクラスメート達に、遂にたたり発動!!」
 人形が人を襲う描写って、やっぱ怖いですよね。
 小学生高学年の頃にビデオで観た「ドールズ」(米/1987年/スチュアート・ゴードン監督)を思い出しました。(注1)
 母親の足元を鋸で挽く人形がイヤでした…。

・「4月13日(水) 不幸の山からこんにちは」
「多々里の担任の先生は、イジメをなくすために、心で本当に思っていることを手紙に書いて、相手の机にこっそり入れることを勧める。
 多々里はこれで友達がつくれると思ったものの、実際はたたりを誹謗する手紙が机に溢れんばかり。
 一度は教室をとび出るが、それでも、多々里は逃げずに立ち向かうことを決意し、教室に戻る。
 クラスメート達は図に乗り、イジメを激しくするが、一人、よし子だけは良心の呵責を感じ始める…」
 泣けるエピソードです。
 誰でもいつか気がつく時が来るのです。
 自分の「思い」は必ず自分に返ってくることに…。
 そうと知りつつも、悪意というものは抑えようがないところが、人間という動物の因果なところでありますが。(核戦争が起これば、こういうこともなくなるのにね。)

・「5月17日(火) スシづめバスがいく」
「野外学習という名の、春の遠足。
 相変わらず、爪はじき者の多々里は、たった一人でお弁当。
 多々里は、お弁当の残りをぽいぽいゴミ箱に捨てるクラスメート達を注意するが、やっぱり、逆にイジメられて、ゴミ箱に押し込まれてしまう。
 食べ物を粗末にするクラスメート達に、多々里はその「心の貧しさ」を思い知らせる…」

・「6月6日(月) てるてるボウズの夢を見た」
「鬱陶しい天気の続く、梅雨の時期。
 多々里は夢の中で、てるてるボウズに晴れたら、金の鈴をあげるという約束をする。
 しかし、てるてるボウズ一つでは力が足りないので、クラスの人数分のてるてるボウズを毎日つくるようお願いされる。
 てるてるボウズとの約束を守り、多々里は毎日一つずつ、クラスメートに似せたてるてるボウズをつくっていく。
 が、多々里の分があと一個という時、クラスメート達はてるてるボウズの首を切ろうとする…」

・「7月8日(金) 落とし物にご用心」
「うっかり者のちまきは、物をなくす名人。
 自分の不注意を棚に上げ、多々里が盗ったと大騒ぎするが、逆に、クラスメートの信用を失ってしまう。
 ちまきは、多々里のその責任を転嫁し、ある日、自分の時計を多々里の机に入れて、多々里に泥棒の冤罪を着せる。
 皆に泥棒扱いされた多々里は、ちまきに人に責任をなすりつけることができないよう、たたりをかける…」

・「7月11日(月) さびしがり屋のひざ小僧」
「体育の自習時間。
 多々里は一人、跳び箱の練習をさせられる。
 何度も何度も失敗し、ヘトヘトになりながらも、奇蹟的に13段の跳び箱に成功。
 まぐれかと唖然とする多々里に、多々里が膝小僧に落書きした顔が話しかけてきた…」

・「みんなでトイレにいこう」
「あることがきっかけで、ヒガミの怒りを買ってしまった多々里。
 ヒガミにより、多々里はトイレで陰湿なイジメを散々受ける。
 これからもトイレに行くたびにイジメようとする女子生徒達に多々里が取った対抗措置とは…?」
 私、男なんでさっぱりわからないのですが、女子便所事情とはあんなもんなのでしょうか?…謎です。

・「スペシャルふろく いじめられづくしたたりちゃん 4コマ劇場」
 ギャグ・マンガでもいじめられております。
 スッポンに「ポン吉」と名付けるセンスがナイス!!

・注1
 人形を扱った、最高の作品は、ムロタニツネ象「人形地獄」だと、個人的に信じております。
 何で復刻されないんだ?!

2016年6月22日 ページ作成・執筆

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