安藤なつ「闇の果てから」(1987年1月14日第一刷発行)

「アデレイド・レスタリック(17歳/愛称は「アディ」)は姉、グレースの死を知らせを受け、スイスの寄宿舎から英国北部のハンターブリーに戻る。
 グレースはアディの父親の前妻(既に死亡)の連れ子で、アディとは血のつながりはなかったが、実の姉妹のように仲が良かった。
 彼女は大人しいアディとは違い、社交家で、ロンドンのY夫人の舞踏会に行った帰り、山道から車が転落、その死体は二目と見られぬものであった。
 父親は少し前に病気で倒れ、寝たきりとなり、レスタリック家の邸は悲しみに暮れる。
 喪に服すアディの悲しみを癒してくれたのは、グレースの友人、マクシミリアン・ブレイク(愛称「マックス」)であった。
 マックスは作家という肩書で、グレースの死を聞いて、パリからやって来たという。
 そんなある日、アディのスイスでの親友、シェイラ・オズボーンがレスタリック家に滞在することになる。
 シェイラは明るく活発な娘で、マックスに好意を抱き、猛烈にアタックする。
 アディは嫉妬に苦しむが、シェイラは温室でアフリカの彫像の下敷きになって死亡。
 奇怪なことにシェイラの死体には、姉が大切にしていて、棺に入れたはずのネックレスが握られていた。
 悲嘆に暮れるアディはある時、姉を夢に見る。
 姉は涙を流し、何かを訴えようとしているようであった。
 アディは姉の遺品を整理して、何か手掛かりを得ようとする。
 そこへ、姉の友人、ロドニー・シンプソン子爵が降霊会を提案する。
 霊媒師の初老の女性が呼ばれ、グレースの霊を呼び寄せると、アディが「危険」で「注意」するよう告げる。
 アディが何が危険なのか問いかけた時、バルコニーの扉が開き、シャンデリアが霊媒師の頭部に落下する。
 次々と起こる惨事のため、レスタリック家は呪われているという噂が近隣に立ち、使用人達はどんどん辞め、滞在客も辞去する。
 また、アディの周辺でもおかしなことが起こるようになり、彼女はマックスへの依存を強めていく。
 一方、アディの父親に引き取られていた、遠縁のスコット・サトクリフはマックスを疑わしいと考え、内密に調査を進めていくのだが…」

2022年8月1日 ページ作成・執筆

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