うぐいす祥子
「ときめきのいけにえ@」(2020年8月17日第1刷発行)
「ときめきのいけにえA」(2021年2月17日第1刷発行)
「ときめきのいけにえB」(2021年10月15日第1刷発行)


・「第1話」(単行本@/「少年マガジンR」2020年2号)
「神業寺マリは漫画家志望のネクラな女子高生。
 ある日の帰宅途中、彼女は最近、意識し始めた花水木シゲルが轢き逃げにあったところに出くわす。
 花水木シゲルは抜群のルックスで女子に大人気であったが、頭は天然が過ぎて、えらいことになっていた。
 マリは救急車を呼び、病院まで彼に付き添う。
 シゲルはこの時の彼女の面影が忘れられず、退院後、マリに告白するのだが…」

・「第2話」(単行本@/「少年マガジンR」2020年3号)
「シゲルの告白を断ったマリ。
 彼女の家には決して他人に明かせない秘密があった。
 このために、マリの母親は廃人となり、マリは父親から「目立つことなかれ」「恋することなかれ」と厳命されていた。
 彼女は花水木シゲルのことは忘れようとするも、天然な彼を前にして、恋心を抑えることはできず…」

・「第3話」(単行本@/「少年マガジンR」2020年4号)
「マリの家の秘密。
 それは世界を破滅から救うため、神に「いけにえ」を捧げる儀式を定期的に行っていることであった。
 父親は兄や弟のサトルでなく、マリを自分の後継者に考える。
 それを知ったサトルはマリの様子を探り、彼女が花水木シゲルに想いを寄せていることを突き止める…」

・「第4話」(単行本@/「少年マガジンR」2020年5号)
「神業寺家に生まれたことの宿命として、マリは「血の儀式」に参加せざるを得なくなる。
 だが、これに参加をすれば、一線を越えてしまうような気がしてならない。
 彼女は母親に家出をする許可を求めるのだが…」

・「第5話」(単行本@/「少年マガジンR」2020年6号)
「儀式を今夜に控え、マリは絶望的な気分であった。
 そんな時、花水木シゲルの存在が一服の清涼剤となる。
 だが、それも束の間、彼が狭山レナという美少女に告白されているのを目の当たりにして…」

・「第6話」(単行本@/「少年マガジンR」2020年7号)
「マリは花水木シゲルとの思い出のアイスの棒を胸に「血の儀式」に臨む。
 血生臭い儀式の途中、彼女は奇妙な感覚に襲われ、その場を離れ、嘔吐する。
 その時、弟のサトルはマリへ当て付けるために…」

・「第7話」(単行本A/「少年マガジンR」2020年8号)
「兄のマコトの失踪により、神業寺家は大騒動になる。
 マコトは昔は優しかったが、儀式に深入りしすぎて、理性を失い、非常に危険であった。
 父親と家政婦の安田はマコトを捜しに行き、マリは家にいるよう命じられる。
 仕方なく家で漫画を描いていると、弟のサトルが部屋にやって来る。
 彼はマリに散歩に出るよう勧めるのだが、その目的は…?」

・「第8話」(単行本A/「少年マガジンR」2020年9号)
「八方手を尽くしてマコトを捜すが、居場所はわからないままで、マリはまた通学することとなる。
 友人たちは彼女を温かく迎えてくれ、また、花水木シゲルの笑顔は相変わらず胸キュンであった。
 だが、彼を「北小の狂犬」の異名を持つ狭山レナがつけ狙う。
 お色気では彼を落とせないと知り、レナはマリを潰すべく、彼女に接近する…」

・「第9話」(単行本A/「少年マガジンR」2020年10号)
「マリはレナから日曜日に『ワンダフル・クリーム』という店に行こうと誘われる。
 その話を耳にして、シゲルは狭山レナには気を付けるようマリに警告する。
 その結果、彼も同行することになり…」

・「第10話」(単行本A/「少年マガジンR」2020年11号)
「土曜日、シゲルは友人の塚本と元キャンプ場に向かう。
 塚本の従姉のタエが彼氏と共に行方不明になったのだが、最後の足取りはそのキャンプ場らしい。
 キャンプ場の跡地には湖(名前は水晶湖)があり、二人はその周辺を歩くが、特に手がかりはない。
 帰ろうとしたところ、シゲルは草むらに血と引きずった跡を見つける。
 それを辿ると、廃屋があり…」

・「第11話」(単行本A/「少年マガジンR」2020年12号)
「日曜日、マリはデート(?)に備えて、準備する。
 そこにサトルが現れ、彼女に兄の居場所を三千円で教えると言う。
 彼女は兄がいるはずの農場に向かうが、兄は二日で追い出されていた。
 そして、その農場の先には元キャンプ場があり…。
 一方、シゲルと塚本は廃屋の地下に閉じ込められていた。
 廃屋には殺人鬼がおり、二人は脱出するため、ある作戦に打って出るが…」

・「第12話」(単行本A/「少年マガジンR」2021年2号)
「作戦はある程度まで成功するが、シゲルは殺人鬼に捕まってしまう。
 塚本は隙を見て、廃屋から逃げ出すが…。
 一方、マリは血の臭いをたどり、廃屋へとやって来る。
 彼はシゲルを助け、彼に自分の想いを告げる。
 だが、同時に彼と一緒になれない理由も明かすことに…」

・「第13話」(単行本B/「少年マガジンR」2021年4号)
「元キャンプ場の事件により、マリとシゲルの仲は急接近。
 その一方で、事件がテレビで大々的に報道されたことで、マリは世間の注目を集めてしまう。
 彼女はことの次第を父親に説明するのだが…」

・「第14話」(単行本B/「少年マガジンR」2021年6号)
「事件でショックを受けたふりをして、マリは一週間、学校を休む。
 久しぶりに登校すると、何か皆の視線がアツい。
 実は、彼女とシゲルは「伝説のスーパーカップル」にされていた。
 それ以外にも、事件のお陰で、彼女の運命に希望の光が差し込み始める…」

・「第15話」(単行本B/「少年マガジンR」2021年7号)
「ところが、好事魔多し。
 鳴海という元警官が神業寺家について内偵を進めていた。
 彼は恋人をさらわれた際に顔に大火傷を負い、その後、恋人はマリの父親に殺されていた。
 彼は復讐のため、神業寺家全員の抹殺を目論む…」

・「第16話」(単行本B/「少年マガジンR」2021年8号)
「鳴海は仲間と共に神業寺の屋敷を襲撃する。
 生き残ったマリとサトルに地下へ案内させられる。
 そこは儀式が行われる場所で…」

・「第17話」(単行本B/「少年マガジンR」2021年9号)
「夜。神業寺邸にまつわる奇妙な噂を突き止めるため、狭山レナは屋敷を訪れる。
 そこは死体だらけで、おまけに、銃声まで聞こえ、彼女は屋敷から逃げ出す。
 途中、彼女は夜道でシゲルと出会い…。
 一方、マリは絶体絶命のピンチにあった。
 その時、彼女の頭の中で声が聞こえる…」

・「最終話」(単行本B/「月刊少年マガジンR」2021年10号)
「シゲルが神業寺邸に駆けつけると、屋敷は火に包まれていた。
 玄関にはマリの姿があるが、どう見ても普通でない。
 シゲルの想いは彼女に通じるのであろうか…?
 そして、世界の運命は…?」

 誰の言葉かは失念してしまいましたが、岡田あーみん先生の「ルナティック雑技団」を「少女漫画の皮をかぶった何か」と評していて、感心したことがありました。
 うぐいす祥子先生の「ときめきのいけにえ」も「少女マンガ」をコンセプトにしているとのことですが、スラッシャー(「13日の金曜日」の影響大)、ノストラダムス、悪魔崇拝…といった要素が捻じ込まれ、相変わらず、異種配合をトバしまくってます。
 でも、少女マンガとしては展開は王道で、「ボーイ・ミーツ・ガール→家族問題等の逆境&ライバル→試練を越えて、絆を深める→ハッピー・エンド」と構成はしっかりしており、見せ場ではきっちり胸キュンをキメてくるのが実にクセモノ。
 作者の美麗な描画もマッチして、意外と胸キュン・シーンは爽やかなので、「少女マンガ」と言えないことも…いや、やっぱり、違うよな…。
 ちなみに、この作品は作者にとって初めての長編です。
 あとがきによると、本来はもっと続けるつもりだったようなのですが、@巻が売れずに打ち切りが決まったために、後半、少々急ぎ足になっております。
 そのため、マリの兄や狭山レナの扱いが中途半端になっているのが残念です。
 狭山レナにはもっと活躍(暴れて)ほしかったなあ〜。
 ともあれ、「血色べったりなラブコメ風ホラー少女マンガ」の隠れた名品だと思います。

2025年1月16・17・20日 ページ作成・執筆

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