大橋薫「魔女のいる教室」(1998年2月13日第1刷発行)

 収録作品

・「魔女のいる教室」
「田辺マリは転校初日、男子生徒の飛び降り自殺を目の当たりにする。
 その男子生徒は、彼女が転入する二年C組の加藤であった。
 自己紹介もしないうちに、クラスメート達に質問攻めされ、マリが戸惑っていると、朱美という女子生徒が彼女をかばう。
 朱美はマリに仲よくしようと言い、学校の案内をする。
 その時、自分のクラスには「魔女」がいると警告し、加藤は魔女に呪われて死んだと教える。
 朱美のいう「魔女」は雪奈という、黒髪の長い美少女で、無口で何を考えているかわからなかった。
 翌日から、マリの周囲で、気味の悪いいたずらが頻発する。
 そのために、クラスメート達はマリを気味悪がり、孤立したマリの友達は朱美のみ。
 マリは、自分が事件の唯一の目撃者だから、雪奈に呪われていると思い込むようになるが…」

・「メビウスの夜」
「京子(作中では「京ちゃん」なので、京子と推測)は委員長。
 ある日、彼女は、いじめっ子三人組が吉川麻央(ちょっと太めないじめられっ子)を旧校舎に閉じ込めるのを見て見ぬふりをする。
 その夜、友人のユイが泊まりに来ていたが、どうしても吉川麻央のことが気になり、旧校舎を見に行く。
 旧校舎の入り口は開いており、中にはいじめっ子三人組の姿があった。
 吉川麻央の姿はないが、誰かがいて、いじめっ子の一人がそちらに向かうと、刺殺されてしまう。
 逃げようとするも、入り口を締められ、京子達は旧校舎に閉じ込められる。
 ユイも襲われるが、彼女を助けたのは吉川麻央であった。
 吉川麻央は皆を助けるために勇気とリーダーシップを発揮する。
 京子は彼女に対して、嫉妬を募らせていき…」

・「満月が見ていた」
「藤本亜子(明るく、ボーイッシュ)、岩田早織(乙女ちっく)、木村ユキ(普通)、花田友美(ちょっぴり不良)は仲良し四人組。
 友美が、公園の奥の林に洋館の空き家があることを発見し、満月の夜、四人はそこを訪れる。
 ある部屋で、亜子はロウソクを灯し、ある提案をする。
 それは「いままでの人生のなかで自分が犯したもっとも恐ろしいことを告白」するというものであった。
 亜子、ユキ、友美が告白して、早織の番が来るが…」

・「神の手」
「井上カナは、部長が目当てで文芸部に入ったものの、文才には乏しかった。
 でも、いつかは素晴らしい作品を発表して、皆を見返し、有名になりたい。
 ある日、彼女は帰宅してから、隣のちひろの見舞いに行く。
 ちひろは身体が弱いだけでなく、コンプレックスの塊で、家に引きこもりがちであったが、カナにだけは心を開いていた。
 彼女は、文芸部に入ったカナに憧れて書いたという童話を見せる。
 カナは童話を読み、その出来にショックを受ける。
 嫉妬に駆られ、カナは童話を「最低」呼ばわりし、捨てておくからと持って出るが、その童話がカナの作品として評価される。
 数日後、カナがちひろの部屋を訪れると、ちひろは机に向かって小説を書きまくっていた。
 彼女は創作の楽しみに目覚め、いろんな世界をつくることで「神」になれると興奮気味に話す。
 カナはちひろの才能に嫉妬し、作品を全てボツ扱いして、彼女には才能がないと断言。
 しかも、彼女の作品を自分の作品として発表していく。
 カナはとんとん拍子に成功していくが、ある時、ちひろという存在に疑問を抱く…」

・「暗闇」
「亜美は、従兄の昌史(作中では「昌兄さん」の表示しかないため、便宜上、「昌史」とします)や友人達と共に、森の中の貸し別荘に行く。
 亜美は幼い頃、森の中で深い亀裂に落ち、昌史に助けてもらったことがあり、深い絆で結ばれていると考えていた。
 貸し別荘は懐かしい感じで、亜美が森の中を歩いていると、見知らぬ少年を目にする。
 その後、別荘ではおかしないたずらが続発。
 それに合わせて、徐々に亜美は昌史について疑問を抱くようになる。
 「暗闇」の向こうにある真実とは…?
 そして、どこからか現れる少年の正体とは…?」

 「満月が見ていた」が単行本中のベストだと思います。
 巻末のおまけ漫画「プライベートホラー」は、大橋薫先生が急病で入院・手術した体験を描いております。
 面会謝絶で入院してても、「編集さんには言わないでよ」「だって仕事こなくなったらやだもん」というのは確かに「ホラー」です…。

2022年6月23日 ページ作成・執筆

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