瀬口恵子
「妖獣姫@」(1995年6月13日第1刷発行)
「妖獣姫A」(1995年9月13日第1刷発行)

・「妖獣姫」
「第1話 戦いの幕」(1994年「月刊少女フレンド1月号増刊」)
 一角慧(ひとかど・けい)は中等部二年で、弓道部所属。
 彼女の隣に住む欣也は、四つ年下の小学生で生意気盛りであったが、彼女に想いを寄せていた。
 ある日、慧の家族は、欣也と、慧の親友であるちとせと共に、Y遺跡に出かける。
 慧と欣也が、はぐれた両親を捜していると、どこからか声が聞こえ、その方向へと向かう。
 その先には、立ち入り禁止の石室があった。
 慧が止めるのを聞かず、欣也はその遺跡の入り口を開く。
 そこには、妖獣を操り、この世に禍をもたらした卑弥呼が封印されていた。
 また、慧は、太古の昔に卑弥呼を封印した壱与(いよ)の転生、また、欣也は、彼女の片腕の邪彦(やひこ)の転生であることが明らかになる。
 慧は、壱与から彼女の「骨」を預かり、再び卑弥呼を封印するよう言われる。
 と言われても、当の本人はちっとも納得できず、衝動に任せて、骨を校舎の屋上から捨ててしまう。
 一方、卑弥呼の魔手は、親友のちとせに伸びていた…。
「第2話 紅の蝶が舞う」(1994年「月刊少女フレンド4月号増刊」)
 慧は、欣也と共に、彼の同級生の児玉理恵の見舞いに病院を訪れる。
 理恵は半年も入院しており、蝶の絵を描くことを楽しみにしていた。
 お見舞いの時、慧は、理恵の兄と出会うが、彼は彼女の隣のクラスであった。
 その夜、理恵の兄の前に、卑弥呼が現れる。
 卑弥呼は理恵の命があと二日と告げ、妹を助けたければ、慧を殺すよう唆す。
 彼は、卑弥呼に言われるまま、慧を殺そうとするが、危ういところに欣也が駆けつけ、理恵の兄は逃げる。
 慧と欣也は、理恵の入院する病院を訪ねるのだが…。
「第3話 杠谷木犀(こうこくもくせい)が散る」(1994年「月刊少女フレンド9月号増刊」)
 「学校の七不思議」の取材のため、学校にテレビ局が取材に来る。
 取材の目的は、校舎のどこかに封印されている、木犀でできた机についてであった。
 その机が捜し出され、実際に使われることとなるが、次々と無惨な事件が起きる。
 卑弥呼の仕業を疑い、慧と欣也は、閉鎖された校舎に忍び込み、机のある教室へと向かう。
 教室の中は、木犀の香りが濃厚に立ち込め、机を中心に木犀が生い茂っていた。
 訝る二人の前で、木犀の中から、比那売(ひなめ)という娘が浮き上がってくる。
 彼女は慧と欣也を知っている様子なのだが、比那売と慧達の過去の関係とは…?
 そして、比那売に何が起こったのであろうか…?
「第4話 よみがえる記憶」(1994年「月刊少女フレンド12月号増刊」)
 慧のクラスの担任が産休に入ったため、大塚真紀子という若い女教師が代わりの担任となる。
 美人でコケティッシュな彼女はたちまち男子生徒の人気者となり、欣也も彼女に想いを寄せる。
 大人っぽくなりつつある欣也に、慧は複雑な感情を抱くが、ある時、真紀子先生の机で奇妙なものを見つける。
 それは生徒名簿で、行方不明になった生徒の名前にバツ印がつけられていた。
 慧はそのことを欣也に言うが、逆に反感を買ってしまう。
 更に、欣也は、鏡に引きずり込まれそうになっている真紀子を助けようとして、大怪我を負う。
 翌日、一人になった慧を、学校で卑弥呼が待ち構えていた…。
「最終話 世紀末の救世主」(1995年「月刊少女フレンド3月号増刊」)
 卑弥呼の仕業か、日本のあちこちで天変地異が勃発する。
 しかし、慧は、欣也と武器を失い、絶望の真っ只中にいた。
 慧は、手掛かりを求めて、事の発端となった石室を再訪する。
 彼女は壱与の幻に、どうしたらいいのか尋ねるが、そこに卑弥呼が現れ、壱与はやられてしまう。
 何も解決できずに家に戻った慧は、大規模なガス爆発に巻き込まれ、少年が爆死するのを目の当たりにする。
 これをきっかけに、彼女はたった一人でも、卑弥呼と対決し、欣也を取り戻す決意をするのであった…。

・「狂ったRADIO」(1995年「月刊少女フレンド6月号増刊」)
「友田さつきは、親友の美穂に恋人の堀内雅也を奪われて、悲嘆と悔しさでいっぱい。
 そんな時、深夜ラジオで、DJが視聴者の悩みを募集していると聞き、葉書に自分のことを書く。
 次の夜、その番組を聴いていると、DJは視聴者の復讐心を煽っているようで、どうもおかしい。
 更に、出したはずのないさつきの葉書が読まれ、憎い方を「殺しちゃえば?」と意見する。
 さつきは、自分が自殺をしようとしたと嘘の内容を手紙に書いて出すが、何故かDJにはその嘘が見抜かれてしまう。
 彼女はその番組をもう聴かないと決めるものの、ラジオは勝手に鳴り出し、番組が流れ出す。
 DJは、明日のバス旅行で、バスが爆発し、顔を怪我した美穂が跳び下り自殺をしたと話すのだが…」

・「声のないメッセージ」(1995年「月刊少女フレンド9月号増刊」)
「優子と聡、リカと拓生は恋人同士。
 しかし、実際は、優子と拓生は両想いであった。
 優子は拓海とポケベル(注1)で連絡を取り合うが、聡からの連絡は理由をつけて、断ってしまう。
 だが、ひそかに拓生に会っていた時、聡は待ち合わせ場所の公園の近くで、交通事故死する。
 以来、優子のポケベルに、死んだ聡からのメッセージが入るようになり…」
(「妖獣姫」第1話〜第3話は「妖獣姫@」に収録/「妖獣姫」第4・5話、「狂ったRADIO」「声のないメッセージ」は「妖獣姫A」に収録)

 「狂ったRADIO」は読めば読むほど、ワケのわからない作品です。
 原因はラストだと思いますので、あのラストさえ違っていたら、佳作になったかも。
 個人的には、二巻巻末の「セグチの珍事件簿 ―セグチ怒る!の巻―」が興味深かったです。
 そりゃ怒るわ。

・注1
 ポケベルは名前は知っておりますが、利用したことがなく、実際にどんなものか、わかりません。
 同じように、いまだに謎なものに「たまごっち」があります。

2020年7月20日 ページ作成・執筆

講談社・リストに戻る

メインページに戻る